5.01.2014

ヒマラヤ日記 7日目



今は16時18分、
標高3875mのサマドという場所のロッジの食堂でこれを書いてます。とうとう今日マナスルサーキットの盟主、マナスルを通過しました。
日本人が始めて登頂した山です。これまで見てきた山々の景色も壮大で素晴らしいのですが、8000mを超える山をまじかで見ると、壮大さを超えて神々しくも感じるのです。 


 マナスル半端無くかっこ良い。気分が上がる。


上の方にある建物はゴンパ(チベット仏教のお寺)山の景色が良く見える場所に建てられている事が多い。聖山という事なのだと思う。山名はサンスクリット語で「精霊の山」という意味らしい。



 いたる所で新しいロッジを建設中



 大鷲



 サマゴンの村を望む




マナスルの麓のサマゴンの村はマナスル登山のベース基地にもなっています。丘を越えて表れた、サマゴンの村の景色は駿先生のアニメを彷彿とさせます。偉大なる山々に囲まれた小さな台地に家々や畑が点在していて、毛の長いヤクや、大きな鷲が空を飛び、村人達が働いています。村外れに建てられた大きなロッジにはヨーロッパの人々が多く滞在していて、村の雰囲気とは少し相容れない感じです。今のシーズンはマナスルを登頂する登山をする人はあまりいないとガイドさんは言ってましたが、氷河を越えてマナスルのベースキャンプまで歩く人は多くいるのかも知れません。僕達も当初は、高度順応を兼ねて、ベースキャンプまで行く予定でしたが、ガイドさんに出発した後に行程の見直しを指摘された事や、天気も心配だったので、行程に余裕を持たせる為に先を急ぐ事にしました。ここまで登ってくると植生も変わり、ちょっとした湿原も現れてきました。通常なら高度順応を考えて、二日ほどかけて歩くコースですが、ガイドさんに相談して一気に標高をあげてみることにしました。低地から少しづつ高度を上げて毎日歩いてきているから、大丈夫だろうとの事です。一気に高い所(2000mを越えた所から高山病の危険がはじまる。)から、スタートするのが高山病の原因になるそうです。サマゴンを越えてより高く上がって行くと、とうとう雪がトレイルを覆い始めました。天気も周りにガスが出てきて、太陽の光も届きません。冬のような寒い中歩いて行くと、少し頭痛のようなものを感じます。空気が特段に薄く感じることもないし、息も上がっていません。1000mも標高を一気に上げるのだから、何か不調があってもおかしくないと思い、ユックリとユックリと歩いて、サマドまでやってきました。ロッジとヤクの牧場しか無いと聞いていたから、すごく小さい場所だと思っていたのに、見えたのは、高地のガスの中に現れた天空の村のような雰囲気でした。ロッジに到着して、着替えて、暖かいミルクティーを飲みながら、夕食のオーダーをしました。いつものダルバートと変えてボイルドポテトにヤクチーズと春巻を頼んでみました。


ヤク(毛長牛)も多くなってきた




前の山の上の上にサマドの村の門が見える



いつも朝起きると、村で飼っている鶏の鳴き声を目覚まし時計にして起きていました。このロッジはそんな生活感を感じる事は出来なさそうです。あの人々の生活の匂いや、愛くるしい子供達、家の中まで飛び込んでくる鶏や、可愛い犬、それらから離れて行く事に少し寂しさも感じます。ラルキャラパスを越えればまた新しい生活圏が現れてくるはずです。まずはラルキャラパスを無事越える事が出来ればの話ですが。

今は午後7時52分です。由美子が食欲がないといいます。
軽い高山病にお互いにかかってます。もう一度来た道を戻って、治してから再トライするか明日の朝ガイドのスバシさんと相談して考える事にします。
これまでも、北アルプスやJMTで食欲がなくなったり、
登りで極端に遅くなるのも高山病なのだと理解しました。日本の山や、JMTもずっと高地に留まるというよりも、下がったり登ったりで、標高が下がると途端に良くなるものだから、高山病という認識が甘かったのです。ここは、ずっと登り続けないといけないので、大きな問題になります。