8.24.2011

JMT Section Hike 6日目

2010. 7/15
まずは、温泉を目指してレッズメドウへと向かう。yumiもだいぶ疲れていたので、もう、当初の計画通り進む事は考えず、レッズメドウの先を今日の宿泊地にしようかと考えていた。

レッズメドウの手前には、デビルズポストパイル(DEVILS POST PILE NAT'L MONUMENT)と呼ばれる小さな公園がある。この公園だけ、国立公園とは別の区域として管理されている。六角形の奇岩が有名な観光スポットになっているようだ。この場所にはレンジャーステーションもあるので、まずは情報を得る為に向かう。そこで、僕はyumiに知られたくない情報を得てしまった。まだ時間が早いのかレンジャーはいなかったけれども、レンジャーステーションの前には、今後1週間の天気予報が貼ってあった。その天気予報の、ほぼ全てに......雷マークが書いてある。本当か??? JMTはずっと天気が続いて、夏は雨が降らないとばかり信じていたので、正直驚いた...。


レッズメドウの無料の温泉施設

気を取り直して、(今は晴れているし)公園内を観光しながらレッズメドウへ向かう。待望の温泉施設は、レッズメドウのキャンプ場の奥にある。キャンプ場は、なんとなく普通のキャンプをする人達の集団と、ハイカーの集団とに分かれていたように感じる。朝も早かったので、温泉が開いてなかったらどうしようかと少し不安ではあったが、問題無い。温泉は開いている!

6日ぶりの温泉シャワーは....最高に気持ちよかった。身も心も洗われる感じ。暖かい、温泉のありがたみを、ものすごく実感出来る。シャワールームは、写真から汚そうな感じを受けるかもしれないが、それなりの雰囲気がある。暗くて、窓から入ってくる明かりで、少しだけ部屋の様子が見えるという感じだから、あまり気にならない。汚くても温泉シャワーを優先しただろうけどね。本当にありがたい素晴らしい施設だった。

シャワーの後は、売店、食堂を目指すべくレッズメドウリゾートを目指す。ここの売店に、事前にe-mailで、燃料用アルコールを購入出来る事を確認しておいた。施設間はバスが走っている。レッズメドウまでは、確かマンモスレイクという麓の街からバスで入れるかと思う。バスの停留所の近くで、日本人らしい高年の方がいらしたので、お声をかけてみると、日系2世の方だった。少し片言だけれども日本語で会話した。少しずつ、セクションハイクをしながら、JMTを歩かれているとの事。
バスを待つのもつまらなかったので、売店までの距離30分程をアスファルトを歩いて向かう事にした。

レッズメドウリゾートは、こじんまりとしたウエスタン風のリゾートだった。実際にホースライディングのサービスなどもされているようだ。早速、食堂に入る。お客は誰もいない。オレンジジュース、ベーコン、卵、パンのスタンダードな朝食をオーダーする。ここで飲んだオレンジジュース、卵の味は一生忘れないだろう。...というぐらい美味しく感じられた。毎日美味しい物を食べるのも良いけど、質素に暮らす事で、普段の生活のありがたみを感じる。レッズメドウでは、そんな感動を味わえたw

朝食の後は、売店に移動する。ここの売店は、トゥオルミーメドウ程、ハイカー向けの道具、装備は揃っていなかった。アルコール燃料を探しても見つからないので少し焦る。売店のスタッフに話してみると、燃料は奥にあるとの事。スタッフもあまり理解されていないようで、「多分これがアルコール燃料だと思うけど、匂いをかいで分かる?」というような感じ。僕らも不安だったので、他のハイカーの協力を得ながら無事購入する事が出来た。アルコール燃料は、好きな容量を購入出来る。日本から持ってきた最軽量のプラスチックボトル、コカコーラのイロハスのペットボトルに多めに入れてもらった。このペットボトルの優れているのは、軽いだけでなく、細かく分けられたボトルの段々で容量が分かる事。(最後は余らせてしまったので、予備用にメタを用意して、アルコール燃料は計画通りの容量のみを持つ事にすれば良かった。)後、ここの売店で面白いなと思ったのは、TAKE FREEと書かれた段ボールにハイカーの置き土産がたくさん積まれていた事(もしくはトレイルエンジェルだったのかな?)。カウンターの奥に置いてあるので、商品を購入したお客へのサービスなんだと思う。なので、スタッフに聞かないと分からないかもしれない。ここでハイキングを終わるハイカーのバックパックには、大抵、予備の燃料や食料が入っている。ハイキング中は貴重だとしても、終わってしまえば、重たく邪魔な存在になってしまうのだろう。僕ら以外の女性ハイカーも大喜びで段ボールをあさっていた。僕らも色めきたつけど、余分な荷物になるのは間違いが無いので、行動食用に、cliff barを少し手に入れる。スニッカーズのような感じだけど、たくさんの味があり、なによりも美味い!

今日はゆっくりと進もうと考えていたので、あまり焦らずにレッズメドウから出発する事にした。

レッズメドウの先は、土屋さん曰く、JMTでも一番つまらない区間だという。無惨に焼け落ちた山火事の跡が広がる。日差しを遮る森が無いので、とても暑い。

山火事跡をすぐに通過して、一気に標高を上げていく。日本だと大変な急登を強いられる事が多いが、JMTのトレイルではまず無い。いくだんにも永遠に続くかと思うようなスイッチバックが切られていて、ひたすら歩きながら標高を上げていく。予定では、登った先にある草原で今日はもう宿泊してしまおうかと考えていた。なぜなら後半はほとんど水が手に入らなさそうだからだ。(その他の区間はこの季節であれば、まず水に困る事は無い。どこにでもある。)スイッチバックを歩ききり、400m程標高を上げると、大変歩きやすいトレイルが続いた。つまらないと聞いていた割には、大変に歩きやすくて、とても良い感じだ。身体が慣れてきたのか、シャワーと食堂で元気が補充出来たのか、ぐんぐんと進んでいく。気が付くと、宿泊予定地をとうに過ぎてしまい、水も補給が難しい区間に入っていた。あまりにもあっけなく過ぎてしまったので、気がつかなかったのだ。後半は、右側が崖になっているトレイルを進む。所々、木の隙間から遠くの山々が見えるので気持ちが良い。イタリア人の二人組ハイカーと抜きつ抜かれつつ進んでいく。

そのうちに、天気が悪くなってきた。きれいな青空が広がっていたのに、空全体が灰色に暗くどんよりとしてくる。そして、すぐに雷を伴って雨が降り始めた。雷はすぐ近くに落ちているようだ。レンジャーステーションの天気予報が頭に浮かぶ。トレイルを先に急ぐも、先行していたハイカーが、みんな雷を恐れて避難している。そんな彼等を見て、僕らも怖くなり、どう対処すべきか良く分からないけれども、バックパックやストックを少し離れた場所に置いて、雨があたりにくい場所で、雷と雨が終わるのを待った。1時間もしないうちに、雨が小雨となり、雷も止んだので、またトレイルを歩きだす。一日中降るというよりも、夕方近くになると、雷を伴った雨雲が発生する夕立のような感じが近いのかもしれない。

今日は予想以上に歩けてしまった。レッズメドウを過ぎて、ようやくハイカーというものが分かりはじめてくる。レッズメドウの先を目指すのは、ほぼ全員がハイカーだ。これまでのような観光地というよりも、シエラネバダの奥深く、JMTを歩く事を目的としている人々ばかりだ。ハイカー同士の連帯感というか、共有出来る意識のようなものを感じはじめる。レッズメドウを越えたあたりから、本当の面白さを実感しはじめたようにも思う。

パープルレイクのほとりを今日の宿泊地とする。雨雲もじきに抜けて、きれいな夕焼けをみながら過ごした。対岸には別のハイカーが宿泊し、夜遅くまで釣りをしていた。どうにか当初目的としていたゴールを目指せるかもしれない。

行動距離28km