12.23.2013

「第3回鎌倉ハイカーズミーティング」の振り返り vol.3


ライターの根津です。振り返りvol.3をお送りします。
今回が、振り返りの最終回となります。

vol.1ではワークショップ、vol.2ではノウハウを紹介してきましたが、vol.3ではハイキングスタイルにフォーカス。さまざまな人が、その人ならではの体験談を披露してくださいましたので、その概要をお伝えいたします。


Hiker’s DelightH.B.M座談会

Jackie(ジャッキー)、Boo(ブー)、Takemichi(タケミチ)Kuro(クロ)Oson(オソン)5人のハイキングブロガーによる座談会。それぞれユニークなブログを持っており、ハイカー界隈では知る人ぞ知る存在である。ちなみにH.B.Mとは、ハイキングブロガーミーティングの略。

座談会のテーマは、「クッカーって、なに使ってる?」
ここでは、クッカーの写真と各自のコメント(一部)を紹介する。


【Oson】Blog:EASYHIKING



12日単独行を想定したセットです。アルコールストーブにチタンの五徳、チタンのクッカー、チタンの風防と、これといって特別なものはなくベタな感じだと思います。料理はあまりしないので、お湯を沸かせれば充分。ただレトルトのカレーを好んで持っていくので、深めのクッカーを使ってます。ラーメンのリフィルもここに入れて食べています」




【Kuro】Blog:RIDGE



「ふたりで行く際のセットです。その名も、ツーパーソンポットセット!MSRのチタン2ポット、トランギアミニセットのフライパン、オリキャンプのストーブ・・・重量は気にせず、デザインが気に入ったものを選んでいます。そのほうが長く使えるんじゃないかと思っているんで。じつはジェットボイルも持っているんですが、まったく使ってなくて。カスタマイズできないので面白くないんです。クッカーって、違うメーカーのもの同士を組み合わたりするのが楽しかったりするんですよね」




【Takemichi】Blog:登ったり、漕いだり。



「以前、アルコールストーブにチャレンジしたけど、わずらわしくって。 やっぱりガスが簡単でいい。ULハイカーがガスだっていいじゃないか!と言いたい。トランギアのミニセットやエバニューのチタンクッカーを持ってはいますが、ご覧のとおりキズひとつなく・・・。基本的に料理はしなくて、山小屋で買ったりして済ませています(笑)。もはやクッカーいらずじゃないかと言われるんですが、つい持っていっちゃうんですよね」




【Boo】Blog:dubclear mountain



「料理しながらお酒を飲んでダラダラするのが好きなので、ユニフレームのミニロースターをよく持っていきます。ガス缶はSOTO。白のカラーリングがかわいくてまとめ買いしました。クッカーのコジーは、ナルゲン(1L)の保温ケースをカットしたもの。これがスノーピークのチタンシングルマグ600にピッタリはまって、スタッフサックいらず。ただ目盛りがないので、お箸に100mlごとの線を書いて、水の量が計れるようにしています」




【Jackie】Blog:blues after hours



「トランギアのミニセットを愛用しています。お米が炊けるし、フライパン付きなので目玉焼きとかいろいろできる。難点は炊いているあいだ鍋が使えないこと。ただ、ワンダーラスト・エクイップメントのグリースポットが、 ミニセットとピッタリはまるサイズだとわかって。いわゆるシンデレラフィットってやつです!一緒に持っていくとお鍋がふたつになるので、固形燃料でお米を炊きつつ(右)、 グリースポットですき焼きをする(左)。こうやってツーバーナーで料理することができるようになりました」





山と道が歩いたニュージーランドトレイル

山と道の夏目夫妻が、2012年、2013年と2回にわたり歩いてきた(合計約1,000km)ニュージーランドのトレイルを紹介した。同国の山々は、夫妻の好きな映画「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影地でもあり、より印象深い旅になったという。



魅力のひとつは、どこまでも広がる原野。
道がなく胸まで草が伸びている草原があったり、徒渉を繰り返して歩く渓流など手つかずの自然が豊富にある。また、多種多様な苔があり、なかには木々が黒い苔で覆われ「風の谷のナウシカ」に出てくる腐海の森のようなところもある。まるで魔法の国にいるかのような感覚に包まれるそうだ。

次に魅力として挙げたのが、ハットと呼ばれる山小屋の存在。



基本的には無人で、日本でいう避難小屋的なもの。しかしそのクオリティには雲泥の差があり、多くのハットには暖炉もしくは薪ストーブのほか、ベッド、炊事台、テーブルなどが完備されている。火をおこし、それを囲みながら料理を食べたりお酒を飲んだりするのが、至福の時間でもあるのだ。

テント泊ではなく、原野を歩きながらハットに泊まる旅。それがニュージーランドのハイキングスタイル。奥さんの由美子さんも、「ハット泊まりなので精神的にもラクですし、雨のなか苦労してテントを張る必要もないので、私はこのスタイルが大好きです」という。

さらに、歩くだけではないのも魅力のひとつ。



途中、数日間かけてカヌーで川を下ることもある。ふたりともカヌーははじめてだったが、川幅が広く、流れも緩いので初心者でも大丈夫とのこと。カヌーはレンタルで、川辺までクルマで運んできてくれて、指定の場所で返すのだという。

日本ともアメリカとも異なるニュージーランドのトレイル。
興味を持たれた人は、ぜひ山と道のブログをチェックしてみてほしい。よりリアルなニュージーランドを感じることができるはずだ。




銀山トレイル

トレイルカルチャーを発信するウェブマガジンTRAILSの佐井夫妻と、島根の魅力を伝えることを目的としたSHIMANE PROMOTIONの三浦兄弟。この2社は、同郷つながりをきっかけとして、ハイキングで楽しみながら地元について考える「銀山街道プロジェクト」を2013年スタートさせた。

石見銀山から尾道まで、約400年前に整備された130kmの銀を運ぶ道。今回、この旧街道を仲間とともに45日でつないだハイキングトリップを、スピーカーである佐井夫妻と三浦卓也(弟)氏が紹介した。



旧街道を歩くとはいっても、それは決して容易いことではない。なぜなら、ルートがはっきりしていない箇所もたくさんあるからだ。道の特徴は、幅が2m10cmであること。動物で銀を運ぶ際に適した長さであるそうだ。また現代の道路と異なり、家のすぐ裏を通っている。そういった情報と、GPSおよび複数の地図を組み合わせつつ、さらに通りすがりの地元の人に聞いたりしながら、旧街道を探り探り歩いていく。大変な作業ではあるが、決められた道を歩く以上に、面白みのあるハイクでもあるのだ。

舗装路と自然歩道が交互にやってくるようなこのトレイル。想像以上の舗装路に対して、佐井氏は、ここを歩いて楽しいのだろうか?という思いが芽生えたという。しかし、以前ハイカーズデポの長谷川さんと別のトレイルを歩いた際に、「もっと先に行きたいと思ったならば、自然歩道に縛られずに舗装路も歩くことは、ごくごく自然なことだよね」と言われたことを思い出したそうだ。

いろいろなカタチのトレイルがあっていい。そういった間口の広さ、自由度の高さが、楽しさにつながっていくのである。

また旧街道には、休憩できる東屋のような建物が一定のサイクルで現れる。



ここで休憩をしながら歩いたのだが、この他にも常夜灯があったり、道標があったりと、歴史を感じさせるものをたくさん目にすることができるのも特徴的だ。

街道上にある「やなしおの道」は、銀山トレイルのなかでもハイライトと呼べるセクション。版築という昔ながらの特殊な工法により、草が生えていないところが多い。それを感じながら歩くのが楽しいという。

最後に、佐井夫妻と三浦氏はこう言って締めくくった。
「歩いてみて思ったのは、銀山街道、石州街道、出雲街道と呼び名が複数あること、そして道標も各自治体で異なり分かりづらいこと。まずは、ここから整備していこうという話を銀山街道を守る会の人ともしているんです。トレイルをつくるのは大変なこと。でも一生やれるし、一生遊べるとも思う」。

ただ歩くだけではなく、地元の道を大事にして、活かしていく。
今回の銀山街道に限らず、他の地域においても参考になる内容だった。




北ア19

豊嶋秀樹氏による、北アルプス19日間、山小屋も積極的に利用したツェルト泊のライトウェイトハイク報告。豊嶋氏は、作品制作、空間構成、キュレーション、イベント企画などジャンル横断的な表現活動を行なっており、山と道との共同プロジェクトである「ハイクローグ」も制作している。

山登り歴は数年という豊嶋氏。以前は、80リットルのバックパックを満タンにして歩いていた。無補給で10日間歩いた際は、かなりしんどく、これ以上長く歩くのは無理だと思ったという。しかし、夏目氏と出会って影響を受け、ライトウェイトにしていくことで、長い距離も軽快に歩けるようになった。

そうして思い立ったのが、北アルプスを3週間かけて歩くこと。

日本海側から穂高ぐらいまでだと、10日間もあれば歩けてしまう。穂高を折り返して立山のほうまで行けば3週間ぐらいになるだろう。一筆書きでいちばん長く歩けるコースでもある。くわえて“J”というスペルにも見える。ジェイの字を歩く、ジェイ歩き、J-WALK・・・ということで、もはやこれ以外のルートは考えられなくなってしまったとのこと。



台風が来ていたこともあり、かなり風雨にさらされたハイクだった。

3日目の白馬岳頂上小屋では、テント場でのツェルト泊。しかし、雨がひどく1泊後に山小屋に駆け込むことに。じつは山小屋泊が初めてだったが、客が自分だけだったこともあり、小屋の主人と一緒に酒を飲んで楽しんだ。また、本棚にあった北アルプス山小屋ガイドというムック本を読み、自分の地図に書き込んで参考にしたという。

また、船窪小屋では出発する際に小屋の人がずっと手を振ってくれたり、三俣山荘では展望食堂でオムライスを食べ、黒部の山賊を買ったり。基本はツェルト泊だったが、山小屋での食事なども楽しんだ。13日目には奥さんと合流し、一緒に北上。室堂山荘では温泉を満喫したそうだ。



豊嶋氏いわく「なにかすごいことをしたわけではないが、なにはともあれジェイウォーカーになることはできた」とのこと。

自分で自分なりの道を描き、自分なりの楽しみ方を実践する。
ハイキングに良い悪いもないのである。「どこのコースがオススメですか?」と聞きたくなる人もいるだろうが、その前に、一度自分でルートを描いてみてはいかがだろうか。きっと誰も知らない、何にも縛られない、あなただけの楽しいハイクが待っているはずだ。




Hiker meets PACKRAFTING

3回鎌倉ハイカーズミーティングのラストを飾ったのが、こちらのプレゼンテーション。スピーカーは、ウルトラライトハイキングとロングトレイルの専門店「ハイカーズデポ」の店主、土屋智哉氏である。

今回、ハイキングの可能性を広げる道具のひとつとして彼が紹介したのが、パックラフトというゴムボート。空気を入れて膨らませる小型&超軽量のゴムボートである。ボート、パドル、 ライフジャケット全部あわせて4kg程度。+kgを背負うことで川下りもできるのだ。ハイカーがテントや寝袋、バーナーを買うのと同じように、遊び道具のひとつとして考えてみてもらえればとのこと。



そこで、土屋氏自身がパックラフティングを行なったシチュエーション、国内外あわせて4カ所を取りあげて話をしてくれた。

一つ目は、栃木県から茨城県に流れる那珂川(なかがわ)。
サケの遡上もみられ、流れもゆるやかでのんびり下れる川。ここもそうだが、日本の川は電車で行けるのがいい。スタート地点まで電車に乗り、川を下って、ゴール地点でまた電車に乗る。初めての人は、那珂川のような流れのゆるやかな川で慣れるところからはじめるのがオススメ。歩くことと一緒のイメージで、川の上でハイキングをすると思えばいいそうだ。

二つ目は、沖縄県の西表島。
西表島の縦断。河口から上流に向かって漕ぎ、途中で登山道に入って山を越え、反対側の川から河口まで下る。ボート自体が小さくて機動力があるので、支流をはじめ狭いところにも入っていけるのが面白い。また西表島には縦断道があり、地図があれば基本迷うことがない。ハイキングと川下りを一緒に楽しむことができるとのこと。

三つ目は、アメリカのロッキー山脈が縦断するワイオミング州。
西表島と同じく、川を下って峠をこえて反対側の川へ行く。ワイオミングでは急流もあったが、そこに対応できるのがパックラフトのいい所。カヤックだと下れないような箇所でも大丈夫。それほど安定性に優れている。だから、急流だけに注意が必要とはいえ、パックラフトを始めて1〜2年の人でも充分対応できるという。

四つ目は、パックラフトが生まれた地であるアラスカ。
現地では、1980年代から旅をする道具として親しまれている。土屋氏が足を運んだところは、北極圏のさらに上にあるブルックスレンジ。そこを流れるジョンリバーという300kmくらいの川を下る。所々、水深が浅い場所もあったが、その際はボートを引っ張って行ったり、あるいは背負って歩いて迂回したり。こういう臨機応変な対応ができるのもパックラフトの良さだと語る。



土屋氏が4つのエピソードを通して強調していたのは、「背負えるボート」であること。
特に日本であれば、川も川沿いの道も多い。ハイキングの新たなカタチとして考えると、楽しさがもっともっと増していくことだろう。


ーーー


以上で、3回にわたってお送りした「第3回鎌倉ハイカーズミーティングの振り返り」が完結となります。

いかがでしたでしょうか。「ハイキングはこうでなければいけない」という決まりは、いっさいありません。この3回の振り返りを通じて、一人ひとりがそれぞれのスタイルで楽しんでいることをお分かりいただけたと思います。

ハイキングは自由であり、まだまだ可能性を秘めた遊びです。興味を持った人自身が、まずはやってみて、自分なりのスタイルや楽しみ方を創造していく。そこに面白さがあるのです。

ハイカーの、ハイカーによる、ハイカーのためのイベント「鎌倉ハイカーズミーティング」。
来年も開催予定ですので、ぜひ足をお運びください。









根津 貴央(ねづ たかひさ)

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。アウトドア関連の雑誌を中心に活動するフリーランスライター。2012年、2013年と連続でアメリカ3大ロングトレイルのひとつ「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)」を歩く。2012年のときに山と道サコッシュを使っていたことがきっかけで、夏目夫妻と知り合う。現在、BE-PALのWEBサイトでPCTの紀行文を連載中。Facebookページはハイカー根津

12.20.2013

JMT 由美子のメモ DAY14


9/10(火)晴、くもり、雨、くもり、晴 朝0℃

Bench LKとの分岐の池のほとり〜Pinchot pass〜Arrowhead Lake(GOOD)

7:10 出発。

とても寒い。足をBackpackに突っ込んで眠ったら結露して寒かった。反省。
Pinchot passまでは登りもきつくなく割とすんなり登頂。頂上で韓国の男子(世界一周中)、米国男性(南米パイネおススメ)と話す。

行動食に焼き玄米をお湯でもどしジプロックで持ち歩き食べる。 やはりゆかりを忘れたのは痛い。甘くてなかなかGOODな行動食。おにぎりみたい。
途中休憩がてらお味噌汁&玄米。寝袋も乾かす。
川で夏目泳ぐ。
天気崩れて2:00~4:00くらいまで雷雨。
雨宿りしつつ、傘さしてあるく。傘ブリリアントって言われた。
Dollar LK目指してたどりついたらキャンプ禁止だった。もう一つ上の湖畔沿いでキャンプ。かなり冷える。寝袋を2人で共有して2枚重ねて眠る事にする。
Arrowhead LKは絵画の様に素晴らしい景色。雨も上がって良かった。






朝 コーヒー テン場で

行動食
夏目:スニッカーズ
由美子:クリフバー半分残り レーズン味。やはり今回はクリフバーがあまりうれしくない。パサパサして飲み込めない。

焼き玄米をお湯でもどしたもの→お茶碗二杯分くらい。
High シエラアイスコーヒー(Pinchot Passの上で)
ドライフルーツを少し


焼玄米 行動食用の半分+おみそ汁(茄子)→2人でわけた
おーいお茶 復活!! でも水質なのか、ペットボトルのにおいなのか、残念な味....。


クスクス+オーツ(1.5人前くらい)/マドラスカレー 
ドライトマト3個・きのこ・ベーコン(かなり美味しい
ラーメンチキン味
2人で分けた。

サラミ8切れ程

ウイスキーちょびっと
コーヒー二杯

湖のほとりでコヨーテが吠えている。割と近い?
一匹が吠えるともう一匹が遠くから吠えて答える。
姿がみてみたい。



JMT 由美子のメモ DAY13

9/9(月)晴れ 朝6℃ 昼20℃

Deer Meadow〜Mather Pass〜Bench LK との分岐の池のほとり(最高のテン場

7:00 出発。ごはんは食べず。

Pallsade Lakesながめながら11:00頃ごはん
レンジャーの人達がトレイルの整備をしていた。

12:00 Mathr Passてっぺん
何も考えずにもくもくと登る。気温がそこまで高くなく日差しもそこまでてりつけづ、気持ち良い晴れ。てっぺんでHigh シエラアイスコーヒー。5時間もかかった気がしなかった。Passの向こう側は岩々&砂ってかんじではてしなく荒涼としている。どことなくトンガリロ(NZのトレイルの一つ)景色が似ている。残雪期は滑落しそう...。

森林限界終わって森あるき。
行動食が日数を割っているのでかなりきりつめて食べている。わりと腹ぺこ。
夏目は今日の分は夕方には完食してしまっていた。
最後にテン場を求めて登り切ったら、良さげな池?湖?をみつけて、ストーンサークルもあるテン場に張る。この旅でいちばん眺めが良いいい場所かもしれない。
 〜
16:00 テン場着




朝・昼 いっしょ
カップヌードル ノーマル味x1コを2人で
最高にながめの良い場所で。
カップヌードルのCMに良さげな景色で食べるおいしい味。
ほんとうまい〜!!

行動食
夏目:穀物とフルーツバーx1本
由美子:クリフバー 半分
VVRのおじさんオススメ。そんなにおいしくないけどナチュラルなもの。


服部先生の野菜カレー クスクス+オーツ(わりかし多め)一人分を2人で
サラミ一人分3切れづつ
ウイスキー ちょびっと →量が半分以下に。
夕飯御飯計画見直しの為この日は少なめ。お腹が減りはじめて来た頃なので、足りなかった...。空腹で眠れない事はなかったけれど。

HMG&ULAを背負った超早いハイカーカップルに朝会う。イヤホンしながらガシガシのぼってた。あれがULハイカーのスピードかぁ!と感じる。

ゴーライト背負ったおじさん2人組とMather Passでハイタッチ。昨日から行程が一緒。

5人組 内2人男性がモンベル米仕様ウインドシャツ。一人がシロギア背負っていた。


12.16.2013

「第3回鎌倉ハイカーズミーティング」の振り返り vol.2


ライターの根津です。振り返りvol.2をお送りします。



前回の内容はワークショップ中心でしたが、今回は歩き方やギアの紹介&使い方、パッキングのコツなど、Tips中心の内容。興味を抱いたポイントがありましたら、ぜひ自分のハイキングスタイルに取り入れてみてください。



ナチュラルラン+ハイク講習


「ナチュラルラン」という言葉をご存知だろうか?
直訳すると、自然な走り。実はいま、多くの人の走り方は自然ではない。結果、元来人間が持っている体の機能が充分に使われなかったり、過度な負担がかかってケガをしたりする。そこで、本来の自然な走り方を学ぼう、というのがこの講習の目的である。

原理原則は、走ることだけではなく歩くことにも共通するため、ナチュラルハイクという言葉自体はないが「ナチュラルラン+ハイク講座」としている。

講師は、アルトラやルナサンダルの日本における代理店である株式会社 ロータスの福地孝氏。彼はトレーナー兼アメリカナチュラルランニングコーチ有資格者で、ナチュラルランニングのプロフェッショナルである。


講座では、まず「ナチュラルラン+ハイク」の基本概念の説明から。次に、参加者全員で目をつぶりその場で5回足踏みをする。すると、ほとんどの人のつま先は外側に向く。これはどういうことかというと、走った(歩いた)ときに体がまっすぐ前に動くのに対して、足はまっすぐではなく外に向いているということ。結果、足首の関節が内側に倒れ込み、ねじりの力が加わることで関節への負担が増え、ヒザが痛くなったりするのだそうだ。正しいフォームは、つま先、ひざ、腰、背中までが真っすぐに揃うことである。

そして今度は、全員裸足になる。両手で耳をふさぎ、歩いてみる。最初の4歩はミッドフット/フォアフットストライク(つま先側での着地)、次の4歩はヒールストライク(かかと着地)と、交互に着地の仕方を変えて進む。後者の場合、かなりの衝撃音が聞こえてくる。この目的は、足からのシグナルに耳を傾けること。

裸足で捻挫をする人はいないという。足を必要以上に守るシューズを履けば履くほどシグナルは聞こえず、衝撃に鈍感になり、ケガにつながってしまうのだ。裸足になれば、自然と小股になり衝撃を吸収する動きが生まれるのである。それが、人間に備わっている能力なのだ。





実は私も、ナチュラルラン(ハイク)を実践者である。アメリカ3大ロングトレイルのひとつPCTを歩く前、福地氏の座学を受けた。PCTのスルーハイクには600万歩を要すると言われており、負担を軽減してケガを防ぐべく意識するようになったのだ。くわえて、道具に頼りすぎず、自分の能力や創意工夫を最大限活かすという行為は、ウルトラライトハイキングの考え方にも通じる。これも、ナチュラルラン(ハイク)に関心を抱いた理由である。

ナチュラルラン(ハイク)のメリットをまとめると下記のようになるだろう。

1)人間が持っている機能を充分に発揮できる
2)走る(歩く)際の安定感が増す
3)ケガの予防になる

少しでも興味を持った人は、ぜひアルトラのサイトを見てほしい。より詳しい情報はもちろんのこと、ナチュラルラン(ハイク)を行なう上で最適なシューズも紹介している。



タープ講習


山小屋ではなくテント泊をする際、多くの初心者が自立式テントを選ぶ。しかし、テントはあくまで野営時におけるシェルターのひとつであり、その他にもフロアレスシェルターやツェルト、タープなどがある。

なかでも、タープは「設営が難しそう」「密閉感がなく不安」というイメージから手にされにくいが、実際は非常に使い勝手がよく機能的なシェルターである。

そこで今回、タープの魅力を伝えるべく、初心者向けの体験講座が行なわれた。

講師は、ハイカー“BB”としてウルトラライトハイキングをいち早く実践し、「ハイカーズデポ ハイカーサコッシュ"BB"スタイル」の産みの親でもある、細田隆氏。ジョン・ミューア・トレイルのスルーハイカーでもある。


一般的に、2本のポールを用いた張り方(写真右)がオーソドックスだと思われている。しかし、実はこのスタイル、手間もかかるし、結露も多いし、どちらかと言えば非常用。天気がいい場合であれば、1本のポールだけを用いた張り方(写真左)のほうがラクである、という説明から講座はスタートした。

タープの利点のひとつは、撤収の容易さ。
そこで、細田氏自身がタイムを計測しながら撤収をしてみる。すると、たった30秒で済んでしまう。一方テントの場合、逆さにして乾かす必要性もあったりして、なんだかんだで30分以上はかかってしまうことが多い。

次に、ふたたびタープを設営してみる。結果、タイムは50秒強。1分足らずで張ることができるのだ。講師がベテランだから早いのでは?と思われるかもしれないが、そうではない。実際、参加者にやらせてみたところ、大差ない時間で設営することができた。これには、参加者の方々も一様に驚いていた。

写真:漆戸美保


タープは、一枚の布であり、非自立式ということから、扱いが難しいと思われがちである。初心者に勧める人も少なく、事前によく練習しておくように言われたりするのだが、実はそうではないのだ。

私もタープ愛用者である。今年の9月から1カ月にわたりPCTを歩いたときも、毎日使用していた。

タープのメリットをまとめると下記のようになるだろう。

1)設営・撤収がカンタン
2)とても軽量である
3)自然との一体感が味わえる




密閉度が低く開放的がゆえに、テントに比べて危険や不安を抱く人が多いのは事実である。しかし、細田氏は安心感と安全は異なると考える。たとえば安心感を得ようとしてテントを用いた場合、自分を取りまく自然を「見えないもの」「感じないもの」として 遮ってしまう。安心感はあるかもしれないが、安全かというと決してそうではない。自分の周囲に気を配れるような環境に身を置くことこそが、より安全なのだ。




メーカープレゼン(山と道)


山と道の夏目彰氏によるプレゼン。バックパックMINIを用いて、パッキング術を披露した。


寝袋は、山と道の発送用袋(ポリエチレン製)に入れ、さらにパックライナーに収納する。ロングハイクの際は、この両方を使用することが多いとのこと。長期ではない場合は、発送用袋のみ。理由としては、ナイロンをコーティングしたパックライナーより防水性が高いと考えているからだそうだ。また替えの衣料品や行動着などもナイロンのスタッフバックを使わずに、防水性の高いジプロックに収納しているとのこと。

ちなみに、寝袋はアメリカのガレージメーカーJacks ‘R’Betterのもの。防寒着としても着用できる構造になっているため、ダウンジャケットいらずである。

またスリーピングマットは、バックパックの背面パッドにしているMINI付属のミニマリスト・パッドと、休憩時にも使える短いバックパッド15+(バックパックに外付け)を組み合わせて使用している。

最後に、雨が降って来たときには・・・と言って、バックパックを背負ったままゴーライトのクロムドームをさっと取り出す。その所作がとても美しかった。


背面パッドをスリーピングマットに、寝袋を防寒着に。
兼用できるギアを用いることで軽量化を図る。これは、まさにウルトラライトの手本と言えるだろう。




メーカープレゼン(OMM)


UKのアドベンチャーレースブランドであるOMM(オリジナルマウンテンマラソン)。その日本代理店である株式会社ノマディクスの千代田高史氏、小峯秀行氏によるプレゼン。主に、OMMの代表的なバックパック、クラシック25Lクラシック32Lの紹介を行なった。


OMMのバックパックは、ファストパッキングで使用される。ファストパッキングは、スピードハイキングと同義であると捉えていい。簡単に言えば、ハイキングに走るという要素を加えたものである。

OMMが開催しているレースにおいて、走る際に欠かせないのが軽量化。ウルトラライトとクロスオーバーする部分があるため、同ブランドのバックパックは、いまやULハイカーやトレイルランナーにも支持されているのだ。


特徴は、背面長の短さ。腰荷重はいっさいなく、背中のみで支える構造である。ショルダーストラップを引いて、できるだけ荷重を肩から肩甲骨のあたりに持ってくる。そうすることでバックパックが背中と一体化し、走っても左右に振られることがないのだ。

すでにファストパッキングを実践している人はもちろんのこと、ハイカーやトレイルランナーにも試してほしいバックパックである。





メーカープレゼン(ハイランドデザイン)


ウルトラライトハイキングとロングトレイルの専門店「ハイカーズデポ」の土屋智哉氏によるプレゼン。同ショップでは、ハイランドデザインというブランド名で、オリジナル商品を展開している。


今回紹介したのは、新商品であるウィンターダウンバッグUDD

従来、湿気によるダウンの機能低下に対する解決策は、ダウンのシェル表面の撥水コーティングであった。しかし、表面を撥水加工すると、発汗等による内側からの湿気が放出されず結露してしまうという欠点があった。

そこで考えたのが、ダウン自体に対する超撥水加工。
撥水ダウンは水をはじくだけではない。撥水加工によりダウンにハリとコシが生まれ、圧縮しても戻りやすくなる。つまり復元力が高いため、かさ高(ふくらみ)が維持され、結果、温かさが保たれるのである。

しかも、重量は−12℃以下の冬用としては驚きの885g。詳しくは、同ブランドのサイトに譲るが、非常に画期的な寝袋である。


最後に。プレゼンで印象的だったのは、土屋氏が聞き手に対してこの商品を押し付けるのではなく「あくまで選択肢のひとつとして」と話していたこと。そこには、ウルトラライトハイキングというものは、ウルトラライトギアを揃えることとイコールではない、という考えがあるからではないだろうか。






筆者プロフィール






根津 貴央(ねづ たかひさ)

1976年、栃木県宇都宮市生まれ。アウトドア関連の雑誌を中心に活動するフリーランスライター。2012年、2013年と連続でアメリカ3大ロングトレイルのひとつ「パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)」を歩く。2012年のときに山と道サコッシュを使っていたことがきっかけで、夏目夫妻と知り合う。現在、BE-PALのWEBサイトでPCTの紀行文を連載中。Facebookページはハイカー根津