今年もハイカーズデポ主宰のハイカーズパーティ「日本人ハイカーが見た2012PCT」に参加してきました。PCT(パシフィック・クレスト・トレイル)はアメリカの三大トレイルの一つ。西海岸をメキシコ国境からカナダ国境まで4000km以上続く超大なトレイルです。
(左)ハイカーズデポ長谷川さん
先月開催した鎌倉ハイカーズミーティングでもPCTのスライドショーをしていただいたハイカーズデポの長谷川さん曰く、日本人は毎年1〜2組が挑戦すれば良いほうで、日本人がスルーハイクしない年もあるとの事。日本人が8人も歩いてきた今年は(全員がスルーハイク達成という形ではないにせよ)すごい出来事だったようです。
当日は、PCTを歩かれた8人のハイカーのうち、5人が参加されました。一人は遠く広島から駆けつけた人もいました。毎年恒例のフリーフード、フリードリンクで呑んで食べて、ハイカー同士交流して、ある程度暖まってきた所で、今年の報告会もスタートしました。まずは長谷川さんからPCTの簡単な説明があり、その後に、5人のハイカーのPCT思い出の写真ベスト3枚とその思い出を話していただく流れで進んでいきました。
参加された方々の話を聞いていると、思った以上に様々な事に未経験な方が多かった事にすごく驚きました。
Taka(タカ)
頭はモヒカン。今回のPCTがはじめての海外旅行だったというのがまた驚きです。パスポートを作る所から初体験だったそうです。ハイカー同士のコミュニケーションとして「No Beer No Hike」を合い言葉に呑みコミニケーションをとってこられたそうです。
山と道でも、PCTを歩かれていたハイカーネーム
Takaさんこそ、根津さんの
ブログをリンク張らしていただいています。ハイク中の写真とこぎれいなご本人のギャップがすごすぎですw
Keiichi(ケイイチ)
最年長のケイイチさんは、定年を迎えられています。長年シエラネバダを歩く事を夢見てこられたケイイチさんは、元々はJMTを歩く事を目標とされていたそうなのですが、 PCTがシエラネバダを通過して、JMTのルートもほとんど同じように歩く事を知り、長い時間もとれるからと、PCTを歩く事に決められたそうです。記憶が正しければ、これまでテント泊もされた事が無かったそうです。どなたかの質問に、途中辛くなって帰りたくなった事はないか?というような主旨の質問に対して、一度も帰りたいと思った事な無く、憧れの場所を目指してずっと歩いていた。というような事を返されていた事が強く心に残りました。
June(ジューン)(右)
今回唯一の女性ハイカージューンさん。これまでに2度JMTを歩かれるなど、多分参加されたハイカーの中では一番歩いてこられた経験がありそうな方でした。女性ならではのロングハイクの悩みなどいろいろと相談にのってくれそうです。今回はゆっくりと楽しみながら歩いていたら、後ゴールまで数日という所で、大雪が降りはじめ、山が一気に雪山へと変貌してしまったため、トレイルランシューズというハイカー装備しか持っていなかったジューンさんはスルーハイクを断念。せめてとゴールだけは見てこられたそうです。
スルーハイクは自己申告なので、途中スキップして全てのトレイルを歩いていないハイカーも多いとも話していました。
Gnu(ヌ)
ヌさんは、渓流釣りはするけれども、山を歩かれた経験はあまり無かったそうです。山装備も今回のPCTの為にはじめて購入されたものがあったとの事。途中足を疲労骨折するなど、いくつもの試練を乗換えてスルーハイクされたそうです。
Nino(ニノ)
広島から駆けつけてこられたニノさん。テントの変わりにタープを持っていたけれども、タープも数回しか張る事がなく、ほぼ全てを焚き火をたいてカウボーイキャンプ(テントもタープも張らずにグランドシートを敷いて地面に直接眠るスタイル。星空の下に自然をダイレクトに感じる。)で過ごされたそうです。ずっと話の中で、「気持ちよかった。」「楽しかった。」を連呼されていました。
5人の写真の中にはそれぞれ内容は違うにしても、3枚の写真の中の一枚以上に、街に降りた後の写真が含まれていました。山の魅力だけでなく、ハイカー同士の交流、トレイルエンジェル(ハイカーを支援する人達。飲料や食料、宿泊施設を無料で提供するなどのサポートを行う。過去に自身がハイカーだった方も多い。)のサポートなど、山も街も含めて、ロングトレイルという旅を思う存分に味わってこられたようです。5月間に及ぶ長いハイクの途中、怖いと思う事も無く、日本よりも全然歩き易かったそうです。
*日本に帰ってきてから信越トレイルなどを歩いたら足が痛くなったともおっしゃっていました。
イベントの後は、三鷹でおなじみの居酒屋栄ちゃんに移動。遅くまで呑んで話をしてきました。山の魅力だけでなく、アメリカで産まれて育ったバックパッキング、ハイキングを取り巻く文化そのものがとても魅力的なのでしょう。今ようやく70年代のバックパッキング革命が蘇り本質的に理解され浸透していくのかもしれません。
日本の山よりも全然歩き易く、ただ長く長く、山を旅するトレイル。 そのトレイル上には、同じゴールを目指す世界中から集まった数百人の仲間達がいる。出会ったり、分かれたりとを繰り返しながら、大きな一つの旅を共有し、5月間を過ごしていく...。
けっして冒険的ではないにせよ、参加する事によって得られた経験は、なにものにも かえられないものなのでしょう。
そういえばイベントの後の二次会でお話を聞いていたら、現地ではアルコールよりもガスの方が今は入手がしやすい。とも話を聞きました。であるならば、後はどの燃料を選ぶかはどのスタイルが好きかで良いのかもしれません。5日以上のハイクであれば、燃料の消費量の大きさから、ジェトボイルチタンの方がアルコールストーブよりもより軽量になるという報告もあります。