ケプラートラックから戻ってきた翌日からテ・アラロアを歩き出す。
テ・アラロアのロングトレイルは、数多くのトラックの集合体でもある。いくつものトラックを繋きつつ、4~5日程歩いて次の街に降りようと考えていた。
ケプラートラックから帰ってきた日のうちに、トランピング用の食料をスーパーで買い込む。テ・アナウの街には「フレッシュ・チョイス」と「フォースクエア」の二つのスーパーがある。奥まった場所にある「フレッシュ・チョイス」は品数も豊富で安かった。左上から食パン1本、ポテトチップス、ニュージーランド中のアウトドアショップ等で販売されているフリーズドライ(二人用x2)、クスクス、パスタ、辛ラーメン、スープ、ミックスナッツ、ドライフルーツ、ぶどう&ミニトマト、サラミ、ハム。この他に、チーズや行動食のスニッカーズ数本とワインも一本ペットボトルに移し替えて用意をした。食パンが主食。朝・昼は行動食をメインにしてギリギリ4泊から5泊想定の食事。フリーズドライのBack Country Cruisineは、基本どこのアウトドアショップでも売っているニュージーランドの定番商品ではあるが、値段も$10前後(650円前後)で高く、そして肝心の味があまり美味しいと感じる事が無かった。同じお湯で戻すにしても、クスクスや、カップヌードルご飯のようなカレーなど、スーパーで買える他の食材の方が、安くて美味しかったと思う。普段は重たいワインやポテトチップスなどのおかしは持っていかないのだけど、なんとなく持っていきたい気分だった。
翌日からの計画はこうだった。
Mavora workway 51km
Greensone Track 36km(三分の二程)
Route burn Track 32.1km
グレノーキーに一旦降りて食料調達。
マヴォラ・ウォーク・ウェイの入口までヒッチハイクが出来なければ、マヴォラ・リバー・トラックを歩く。問題があった場合には、グリーンストーン・トラックで抜ける。
朝テアナウの街はずれまで歩いてゆき、ニュージーランドではじめてのヒッチハイクを試みる。人生2度目のヒッチハイクを成功させなくてはならない。いくつもの車が通り抜けていく中、不安な気持ちが一杯の二人の前に若い女性の車が止まってくれた。待ったのは時間にしてわずか15分程だっただろうか。短いようで長い時間。車の中でつたない英語で感謝の気持ちを伝えて、マヴォラ・レイクに行きたい事を話すと、国道の分岐まで乗せてくれた。国道から砂利道を通って37km先にマヴォラ・レイクがある。車が通るのを待とうかとも考えたが、乗せてくれる車があるかも不安だし、待っているのもつまらなかいと考え、途中ヒッチハイクを試みながら歩いていく事にした。
たまに砂利道を砂煙をあげながら車が走り抜けていくが、止まってはくれない。
川沿いの草むらにサインはあるが、道は.....無い。あるのは、胸元まで伸びた草に覆われた土手。その草むらの中に定期的にテ・アラロアのトレイルを示すポールが立っている。強い日差しの中、草をかき分けながら進む。マヴォラ・リバー・トラックは47kmある。こんな道なき道を47kmも歩くのがテ・アラロアという事なのだろうか。10m進むだけでも大変だ。ここでこれから歩いていくテ・アラロアの過酷さを考えて....目眩を覚えた。
途中トレイルから外れて川沿いに進んでいくも、やはり歩きづらく、ただ単に厳しい。楽しくも無い。早くマヴォラ・リバー・トラックから外れて、もともと歩いていた砂利道に戻り、時間がかかってもヒッチハイクで湖を目指す事にした。遠くに見える砂利道を目指して草をかき分けながらどうにか合流をはたす。何の為にこの場所を歩いているのか....。誰もいない、熱いだけの砂利道...。前日までのケプラートラックの歩きやすく完成度の高いトラックを考えると何好き好んでこんな場所にいるのか。と、二人自問していた。
時間が午後を回ると、車はさらに減った。たまに止まってくれる車があっても、湖までは行かないと言う。気がつくと15km以上は歩いていた。それでも湖まではまだ20km以上ある。このまま誰も止まってくれなければ、日が暮れるまで歩いて湖に向かう事になる。と思い始めていた頃、ようやく一台の車が止まってくれた。国道の分岐から歩きはじめて既に5時間はたっていた。車には二人の女性が乗っていた。一人の女性が以前日本に旅行に来た事がある親日家の女性だった。片言の日本語も話してくれた。僕たちが日本人である事を認識した上で、止まってくれたようだ。
ヒッチハイクは、始める前は不安な気持ちで一杯で、出来るならやりたくは無いといつも思うのだが、今まで生きてきて、ヒッチハイク以上に人の善意を感じる体験はあっただろうか。抜きさっていく数多くの車の中で、僕らの前に止まってくれる車。そこから出てくる人から、人生最大級の善意の固まりを感じる事が出来るのだ。大げさかもしれないが、ぜひ、一度はヒッチハイクをしてもらいたい。こんな善意を感じられる、人の素晴らしさを感じられる体験はそんなに無いのではないかと思えてくる。遠く言葉も通じない、人もいない、心細い気持ちが、ヒッチハイクを素晴らしい体験にしてくれているのかもしれない。
Careys Hutまで、車でこれる事もあって、既に小屋は人で一杯のようだった。周りに小屋に入れない人達がテントを張っている。中には馬と一緒にキャンプを張っている人もいて驚いた。とても美しい場所ではあるけれども、まだ車で来れるような場所に大自然を感じる事は出来ない。車が入れるのはこの場所までだ。明日からはどんなトレイルが待っているか不安を感じつつ眠った。
テ・アラロアのロングトレイルは、数多くのトラックの集合体でもある。いくつものトラックを繋きつつ、4~5日程歩いて次の街に降りようと考えていた。
ケプラートラックから帰ってきた日のうちに、トランピング用の食料をスーパーで買い込む。テ・アナウの街には「フレッシュ・チョイス」と「フォースクエア」の二つのスーパーがある。奥まった場所にある「フレッシュ・チョイス」は品数も豊富で安かった。左上から食パン1本、ポテトチップス、ニュージーランド中のアウトドアショップ等で販売されているフリーズドライ(二人用x2)、クスクス、パスタ、辛ラーメン、スープ、ミックスナッツ、ドライフルーツ、ぶどう&ミニトマト、サラミ、ハム。この他に、チーズや行動食のスニッカーズ数本とワインも一本ペットボトルに移し替えて用意をした。食パンが主食。朝・昼は行動食をメインにしてギリギリ4泊から5泊想定の食事。フリーズドライのBack Country Cruisineは、基本どこのアウトドアショップでも売っているニュージーランドの定番商品ではあるが、値段も$10前後(650円前後)で高く、そして肝心の味があまり美味しいと感じる事が無かった。同じお湯で戻すにしても、クスクスや、カップヌードルご飯のようなカレーなど、スーパーで買える他の食材の方が、安くて美味しかったと思う。普段は重たいワインやポテトチップスなどのおかしは持っていかないのだけど、なんとなく持っていきたい気分だった。
翌日からの計画はこうだった。
テ・アナウの街はずれから、ヒッチハイクでテ・アラロアを目指す。マヴォラ・ウォーク・ウェイ(地図の3と4) というマヴォラ・レイクからはじまるトラックからテ・アラロアをスタートしたいと考えてはいるが、途中国道からマヴォラ・レイクまで車も少ない砂利道を通る。この砂利道をヒッチハイクする事が出来なければ、マヴォラ・ウォーク・ウェイの手前のトラック、マヴォラ・リバー・トラックからトランピングをはじめてもいいかもと考えた。
どうにかマヴォラ・ウォーク・ウェイを終えたら、一旦テ・アラロアを外れて、グリーンストーン・トラック(地図2)、ルートバーン・トラック(地図1)を歩いて、グレノーキーという小さな街までバスもしくはヒッチハイクで移動して食料調達をする。その次にリース・ダート・トラック(地図5)から入って、カスケード・サドルルート(地図6)を越えて南を目指す。マヴォラ・ウォーク・ウェイから先のトラックは、どれもニュージーランドを代表する有名なトラックで、ロンリープラネットのトランピング・イン・ジュージーランドでこの地方の地図を見たときから歩きたいと考えていた。(どうしてテ・アラロアがこのトレイルを繋げないのか不思議だと思っていた。写真がその地図。)全てのトラックが微妙に繋がっているのを見た瞬間からワクワクしていた。(ルートバーン・トラックとリース・ダート・トラックは間に大きなダート川が流れている為に繋げる事は出来なかった。)カスケードサドルを越えた先にある街ワナカから、テ・アラロアに復帰して南を目指す。途中、ハザードゾーンと呼ばれる歩けない箇所(テ・アラロアには、大きな川、湖など、歩かずにその箇所を飛ばす場所がある。)は状況を見つつ、歩けたら歩く、難しそうなら大きく迂回しようと考えていた。南島のハイライトになるアーサーパスからSt アーナードまでは確実に歩き、後は状況を見ながら検討したいと考えていた。
出来るかぎりたくさん歩きたいと行き込んではいたが、テ・アラロアはそんなに甘いトレイルでは無かった....。
どうにかマヴォラ・ウォーク・ウェイを終えたら、一旦テ・アラロアを外れて、グリーンストーン・トラック(地図2)、ルートバーン・トラック(地図1)を歩いて、グレノーキーという小さな街までバスもしくはヒッチハイクで移動して食料調達をする。その次にリース・ダート・トラック(地図5)から入って、カスケード・サドルルート(地図6)を越えて南を目指す。マヴォラ・ウォーク・ウェイから先のトラックは、どれもニュージーランドを代表する有名なトラックで、ロンリープラネットのトランピング・イン・ジュージーランドでこの地方の地図を見たときから歩きたいと考えていた。(どうしてテ・アラロアがこのトレイルを繋げないのか不思議だと思っていた。写真がその地図。)全てのトラックが微妙に繋がっているのを見た瞬間からワクワクしていた。(ルートバーン・トラックとリース・ダート・トラックは間に大きなダート川が流れている為に繋げる事は出来なかった。)カスケードサドルを越えた先にある街ワナカから、テ・アラロアに復帰して南を目指す。途中、ハザードゾーンと呼ばれる歩けない箇所(テ・アラロアには、大きな川、湖など、歩かずにその箇所を飛ばす場所がある。)は状況を見つつ、歩けたら歩く、難しそうなら大きく迂回しようと考えていた。南島のハイライトになるアーサーパスからSt アーナードまでは確実に歩き、後は状況を見ながら検討したいと考えていた。
出来るかぎりたくさん歩きたいと行き込んではいたが、テ・アラロアはそんなに甘いトレイルでは無かった....。
Greensone Track 36km(三分の二程)
Route burn Track 32.1km
グレノーキーに一旦降りて食料調達。
マヴォラ・ウォーク・ウェイの入口までヒッチハイクが出来なければ、マヴォラ・リバー・トラックを歩く。問題があった場合には、グリーンストーン・トラックで抜ける。
1月7日
朝テアナウの街はずれまで歩いてゆき、ニュージーランドではじめてのヒッチハイクを試みる。人生2度目のヒッチハイクを成功させなくてはならない。いくつもの車が通り抜けていく中、不安な気持ちが一杯の二人の前に若い女性の車が止まってくれた。待ったのは時間にしてわずか15分程だっただろうか。短いようで長い時間。車の中でつたない英語で感謝の気持ちを伝えて、マヴォラ・レイクに行きたい事を話すと、国道の分岐まで乗せてくれた。国道から砂利道を通って37km先にマヴォラ・レイクがある。車が通るのを待とうかとも考えたが、乗せてくれる車があるかも不安だし、待っているのもつまらなかいと考え、途中ヒッチハイクを試みながら歩いていく事にした。
たまに砂利道を砂煙をあげながら車が走り抜けていくが、止まってはくれない。
1時間程歩くと分岐があり、少しテ・アラロアを歩いてみたくなったので、マヴォラ・リバー・トラックの方面に歩いていく。すると、ほどなく、親切な家族が車に乗せてくれた。とてもうれしくも、マヴォラ・リバー・トラックの合流地点まで、距離は...わずか1km程。途中でおろしていただき、地図で場所を確認しテ・アラロアのトレイルを探す。するとほどなく、テ・アラロアのサインを発見した。
川沿いの草むらにサインはあるが、道は.....無い。あるのは、胸元まで伸びた草に覆われた土手。その草むらの中に定期的にテ・アラロアのトレイルを示すポールが立っている。強い日差しの中、草をかき分けながら進む。マヴォラ・リバー・トラックは47kmある。こんな道なき道を47kmも歩くのがテ・アラロアという事なのだろうか。10m進むだけでも大変だ。ここでこれから歩いていくテ・アラロアの過酷さを考えて....目眩を覚えた。
途中トレイルから外れて川沿いに進んでいくも、やはり歩きづらく、ただ単に厳しい。楽しくも無い。早くマヴォラ・リバー・トラックから外れて、もともと歩いていた砂利道に戻り、時間がかかってもヒッチハイクで湖を目指す事にした。遠くに見える砂利道を目指して草をかき分けながらどうにか合流をはたす。何の為にこの場所を歩いているのか....。誰もいない、熱いだけの砂利道...。前日までのケプラートラックの歩きやすく完成度の高いトラックを考えると何好き好んでこんな場所にいるのか。と、二人自問していた。
時間が午後を回ると、車はさらに減った。たまに止まってくれる車があっても、湖までは行かないと言う。気がつくと15km以上は歩いていた。それでも湖まではまだ20km以上ある。このまま誰も止まってくれなければ、日が暮れるまで歩いて湖に向かう事になる。と思い始めていた頃、ようやく一台の車が止まってくれた。国道の分岐から歩きはじめて既に5時間はたっていた。車には二人の女性が乗っていた。一人の女性が以前日本に旅行に来た事がある親日家の女性だった。片言の日本語も話してくれた。僕たちが日本人である事を認識した上で、止まってくれたようだ。
ヒッチハイクは、始める前は不安な気持ちで一杯で、出来るならやりたくは無いといつも思うのだが、今まで生きてきて、ヒッチハイク以上に人の善意を感じる体験はあっただろうか。抜きさっていく数多くの車の中で、僕らの前に止まってくれる車。そこから出てくる人から、人生最大級の善意の固まりを感じる事が出来るのだ。大げさかもしれないが、ぜひ、一度はヒッチハイクをしてもらいたい。こんな善意を感じられる、人の素晴らしさを感じられる体験はそんなに無いのではないかと思えてくる。遠く言葉も通じない、人もいない、心細い気持ちが、ヒッチハイクを素晴らしい体験にしてくれているのかもしれない。
車はあたりまえだけれども早く進む。それでも1時間程車にのってようやく、湖に到着した。御礼をいって湖沿いに30分程歩いた所で、大事な傘を車のトランクに置いてきた事に気がついた。まだ旅は始まったばかりでのこのミス。まだ車がある事を祈って、着た道を戻ると、途中で二人に会う事が出来た。本当に迷惑な話だが、二人に車まで戻っていただき、傘を回収する事が出来た。本当にありがたい。そしてすみません。
マヴォラ・レイクはとても美しい湖で、送ってくれた二人は水筒に湖の水を汲んで美味しそうに飲んでいた。水が美味しい事でも知られているらしい。人はあまり多くはないけれども、車できてキャンプを楽しむ人達がちらほらといた。湖からマヴォラ・ウォーク・ウェイは始まる。今日の宿泊予定地の小屋までは4WDも入れるオフロードコースのようだ。全てのトレイルが、マヴォラ・リバー・トラックのような道なき道では無い事に少しほっとする。途中車や馬で散歩をする人たちとすれ違いながら、湖の端にあるCareys Hutに到着する。
Careys Hutまで、車でこれる事もあって、既に小屋は人で一杯のようだった。周りに小屋に入れない人達がテントを張っている。中には馬と一緒にキャンプを張っている人もいて驚いた。とても美しい場所ではあるけれども、まだ車で来れるような場所に大自然を感じる事は出来ない。車が入れるのはこの場所までだ。明日からはどんなトレイルが待っているか不安を感じつつ眠った。