3.11.2012

トランピングの基本情報



ニュージーランドのトレイルの印象

ニュージーランドで山を歩く事をトランピングといい、トレイルの事をトラックと呼びます。ヒマラヤの山歩きをトレッキングというように、ただハイキングの呼び名が違うだけかと思ってましたが、実際に歩いてみると、自分が知っていたハイキングとは違う、魅力に溢れた山歩きがそこにありました。
日本においてはアルプスの稜線の一部など難しい場所があっても、基本は登山道ありきでトレイルが作られているように感じます。自分たちが歩いたアメリカのJMTは、手を使わないと歩けないような場所は無く、渡渉などはあっても、ハイカーが歩きやすいようにトレイルを徹底的に整備している印象でした。ニュージーランドは、トラック(トレイル)によっては登山道も無く、不親切なのですが、山や谷、草原、湿原、川など...大自然と向き合い、原生の自然を歩いて楽しむように作られているように感じました。また、日本の国土と同じくらいの面積に400万人程しか住んでおらず、ほとんどが自然のニュージーランドでは、氷河からフィヨルド、火山に温泉など、様々な自然が溢れ、山のアクティビティも、本格的な登山から、カヤック、マンテンバイク、乗馬など、様々な楽しみ方があります。近年、ロード・オブ・ザ・リングをはじめとしてニュージーランドの大自然を撮った映画が多くあるみたいですので、映画を通してニュージーランドの自然を見る事もあるのでは無いでしょうか。



トランピング

日本の登山は山頂を目指し、山頂を繋いで歩いてく縦走がメインですが、ニュージーランドのトランピングは、山頂を通る事はほとんどなく、山頂を巻くように、谷を歩き、峠を越えて、自然を歩く事を楽しみます。一年を通して高所に雪が残り氷河が広がるニュージーランドでは、山頂を目指す過酷で危険なマウンテニアリングと自然を歩き旅するトランピングは、はっきりと楽しみ方が分かれているようです。トランピングは、自然の中に点在するハット(山小屋)に泊まりながら、何日も歩き旅をします。基本トラックは、周遊コースとして作られており、二、三泊は普通で、場所によっては5泊程かかるトラックもあります。出発点とゴールが同じ事から、車で移動しながらトランピングを楽しむ事が出来ます。トランピングは、トラックの難易度、知名度から以下に分類されます。

Easy access short wark
1時間程のコースで車椅子の人も含めて簡単にアクセス出来て全ての人が歩けるトラック

Short walk
1時間程の短くて大体の人々が歩けるトラック

Walking track
数時間から1日かかるトラック。ほとんどのトラックが整備されている。

Great walk / Easier tramping track
ニュージーランドで最も人気のある8つのトラック。有名なミルフォードトラックもグレートウォークの一つ。数泊して歩くトラックがほとんど。トレイルもハット(山小屋)もすばらしく整備されている。僕たちが最初に歩いたケプラートラックもグレートウォークの一つ。人気が高い為、他のトラックと差別されて管理されている。指定地以外はキャンプなどの宿泊は禁止で、入る為にはDOCで事前にハット及びテントの予約をしなくてはいけない。一番人気のミルフォードトラックは、12月に歩けるか調べた所、3月まで予約で一杯でした。

Tramping track
ニュージーランドの大半のトラックが、このトランピングトラックになります。数泊かかるトラックがほとんどで、登山道はあまり整備されておらず、時には草原や湿原を歩き、川の渡渉も頻繁にあります。簡単なコースからハイレベルなコースまで千差万別です。自分の経験だと、人気のあるコースのほとんどが歩きやすく、知られていないコースは、人も道も無く、大変なコースがほとんどでした。トラックはマーカーやポール、ケルンなどの目印が付けられています。道が分からくなっても、山や谷などの地形が大きく、目指す方向は大体分かるので迷う事はあまり無いように思いますが、最低限の地図読みは必須です。

木に取り付けられているオレンジのマーカー。場所によって大小ある。

Route
上級者向けで難易度の高いトラックです。登山道はほぼ整備されておらず、大自然の中を目印をたよりに歩きます。地図読みスキルはもちろんの事、時にはクライミングスキルも要求されます。Tramping trackでもルートとほとんど変わらないようなトラックがありました。

その他、マウンテンバイクや乗馬を楽しめるトラックもあります。
ニュージーランドにトランピングに来るほとんどの人が、有名なグレートウォークを歩く事を目的にしているのだと思いますが、トランピングの本質はトランピングトラックにあるように感じます。


ハットについて

トランピングは、ハット(山小屋)を繋ぎながら歩く旅とも言えます。日本の山小屋のように、食事や売店などのサービスはまったく無く、基本全ての食料は持ち込み自活しなくてはいけません。有名なハットにはDOCのスタッフが管理上の問題で滞在する事があっても基本は無人です。ハットのレベルは数段階に分かれており、水洗トイレや、ガスコンロなどが併設されている最高レベルのハットから、ニュージーランドの開拓時代から存在するような、古く、壁や床に穴が開いているハットまで色々です。大体どのハットにも暖炉か薪ストーブ、キッチン、マットレス付きのベッドが設置されいて、寒い夜には暖炉に薪をくべながらゆっくりとした時間を楽しむ事が出来ます。トイレも清潔です。日本の避難小屋とは目指しているレベルが違うと感じました。自然を楽しむ事を最大の目的に、かつ夜は安全に快適な山小屋に自由に泊まる。そんな旅が楽しめます。ハットの代金はハットのレベルに応じて異なっていて、事前にDOCでハットチケットを購入する必要があります。
けっして高くはなく、基本は5ドル~15ドル程で、自分たちは6月間自由にハットに泊まれる(ただしグレートウォークと一部のハットはのぞく)Backcountry Hut Pass をNZ92ドル(6000円程)で購入しました。ニュージーランド中に点在するハットはとても美しく魅力に溢れる小屋ばかりでした。







VISITOR'S BOOK


ハットには、ビジターズブックが置いてあります。名前・国・アクティビティ(トランピングやマウンテンバイク、釣り、ハンティングなど)どこから来て、どこに向かうのかを記します。トレイルの情報なども記載されているので、情報を得る事も出来ます。長く歩いていると、同じ人の名前をずっと見かける事になりますし、Te Araroaのようなロングトレイルだと、出会った人の名前を方々のハットで見つけるのも楽しみになります。ビジターブックには、各国の名前を見つける事が出来ますが、残念ながら日本から来て歩いている人はあまり多くは無いようです。アメリカ(ゴーライトのあるコロラドが多かった!)イスラエル、ドイツ、オーストラリアの方が多かったと記憶しています。


DOCについて

DOCは、ニュージーランドの全国の主要観光都市に存在します。ニュージーランドの自然を保全して、トレイルの情報を提供し、ハットチケットの販売、グレートウォークの予約等を行う事が出来ます。今回575km程のトラックを歩いてみて感じた事は、このDOCのレベルの高さです。自然を楽しむ事を目的に最高レベルでトレイル、ハットを管理していると感じました。DOCの存在こそが、ニュージーランドの魅力あるトランピングというスタイルを作り出してきたのでは無いかと思えてくる程です。


テ・アナウDOCスタッフのみほこさん。トレイルでも日本人のDOCスタッフに会う事がありました。日本語でトレイルの情報を得られるのがうれしい。


アクセスについて

ニュージーランドはあまり公共交通機関が発展しているとは言えないようです。ある程度有名なトラックであれば、トラックヘッドまで送ってくれる小さなミニバンなどのシャトルバスなどのサービスがあります。グレートウォークレベルの有名トラックであれば、定時にシャトルバスの運行があります。ニュージーランドの山は人も少なく、山近くのダート(砂利道)を走っている車はほとんどありません。シャトルバスが予約出来るのであれば、予約した方が賢明かもしれません。シャトルバスの予約は、DOCや泊まっているホテル、ビジターセンターなどでしてくれます。また、行き先と出発地、Busと入れて検索すれば、大体サービス会社が見つかります。


その他トランビングについてくわしくは、秋場さんという方がまとめられたサイトに詳しく記されています。ニュージーランドで本格的にトランピングを楽しむ大半の日本人がチェックしているサイトでは無いでしょうか?もしこのサイトを秋葉さんが見る事がありましたら厚く御礼を申し上げたいと思います。