11.22.2012

北アルプス9日間 親不知〜上高地 DAY4 - DAY5

DAY4

祖母谷温泉〜仙人温泉小屋


 夜のうちに着ていた服を洗濯してテントに干した。奥に見えるのが露天風呂


祖母谷温泉。けっこう広い露天風呂。まったりとしてかなり気に入りました。夜も入って、朝も入って。源泉掛け流し掛けの天然温泉。こちらのサイトにも詳しくのっていました。

 
祖母谷温泉は欅平駅から歩いて40分程。すごい所まで電車がきている。
この駅の裏から水平歩道に入る。駅の立ち食いソバを食べたいなと思ったが朝早くやっておらず。駅で本日泊まる予定の仙人温泉小屋に連絡をして予約をする。欅平から遠いので到着が少し遅くなるかもしれませんとお伝えして向かう事にした。



 前から歩いてみたいと思ってた水平歩道。黒部ダムを作る為に作られた山道。


 左は数百メートルの断崖でも、道幅は1mほどあるので、怖いと思う事は無かった。
けっこう人も歩いている。この先の下の廊下も歩いてみたかったが、8月下旬はまだ残雪が多く9月末頃に開通されるらしい。また去年起こった地震による岩崩れでその当時はまだ復旧工事が進んでいる所だった。

 13km程歩くと阿曽原温泉小屋に着く。この小屋で情報収集をしてみると、去年の地震の影響で黒部湖を横断する船が動いていないかもしれない。なんて情報がお客さんから出てきた。小屋の人も知らないらしい。近いようでそんな大事な情報も共有されていないものかと少し唖然とした。後、自分も大きな勘違いをしていて、黒部湖の渡し船の出発場所を観光船が出る黒部ダムと勘違いをしていた事が分かった。本来はそこからコースタイムで3時間程歩いた先にある平の小屋が渡しの場所だった。地図を良くみれば分かる事なのに、ついうっかりと思い込んでしまっていた。翌日仙人小屋から奥黒部ヒュッテまで移動したいと考えていたが、時間的に難しい事と、万が一黒部の渡し船が動いていない場合には平の小屋から五色ヶ原に登って、嫁との合流地点の雲ノ平に向かおうと思った。明日一日で奥黒部ヒュッテまでの移動はなかなか難しいという事は分かったので、嫁に電話をして(今思えば平の小屋に電話して渡し船が出ているかを確認をすれば良かった。)雲ノ平の合流日を一日ずらす事にした。


 阿曽原温泉小屋を出て、仙人ダムを抜ける。これがなかなか良い雰囲気。
こんな細い道の途中でいきなり線路が出てきたりする。ちょっとしたラビリンス(迷宮)。ダムに付随する建物の屋上に登って、裏手の山から裏劔を目指す。地図では急登。梯子も多くけっこうワイルドな道。その日は今回のハイクで唯一小屋泊まりにしていたので、夕食の準備にあまりご迷惑をおかけしないように、出来るかぎり急いで登った。コースタイムは4時間程だったが、思ったよりもサクサクと足は進み2時間程で仙人温泉小屋が見えた。


 何も無い山の中腹にある温泉小屋。15:00に着いて良かった。食事を予約している場合には、小屋の人は15:00頃には食事などの準備を開始しないといけないので、基本早く小屋には到着しないといけない。遅く着くと、そのあたりの算段が狂ってくる。なので遅く着く際にはその事を伝えないといけない。その日は他に3人の予約があったらしいが到着する事は無かった...。


宿泊客は僕を含めて2人だけ。小屋のお手伝いにこられているボランティアのおじさんと4人で食事をした。小さな小屋はアットホームで、小屋番の人しか知らないような面白い話が聞ける。例えば冬に仙人温泉小屋で冬ごもりをする熊の話とか、いろいろな山の写真に混じって異色でひときわ目立っている女性の写真を指摘すると、あの山田べにこさんだったりとか。

洗濯機もあったので、帽子やらいろいろと洗濯をさせていただき、御飯の後も星を見ながら長風呂。とても贅沢な夜を過ごせた。二日続けての温泉三昧。小さな小屋はいい。


DAY5

仙人温泉小屋〜ロッジくろよん

今日は当初よりも行程を短くしたので、出発を少し遅くして、朝風呂を楽しんでから歩きはじめた。仙人温泉小屋から少し登ると、仙人池に出る。


あいにくちょうど裏劔にガスがかかっていて見えなかったが、仙人池から見る裏劔は絶景で、この裏手にある仙人池ヒュッテで数十泊もする人もいるらしい。


少し歩くと裏劔の絶景が見えた。今日は山をいくつも越えて黒部ダムまで歩く日。
裏劔に近づいた所で、劔沢まで下りてまた登る。



所々良い所もあるが、正直面白くない...道が続く。道行く人には沢ヤも多い。
黒部ダムに近づくにつれて小雨が降り出した。下ノ廊下の合流地点で下ノ廊下方面から上がってくる人達の群れが見えた。足が早い。じきに追い抜かれた。ヘルメットをしている人もいたので、どうやら下の廊下の復興工事をしている人達だと分かった。


大きな川を渡る時に、はっと横を見ると唐突に目の前に黒部ダムが現れた。山の渓谷の1面を埋める途方も無い大きな壁。上手く説明が出来ない。すごくSF的な感覚。大自然の中にぽっかりとグレーの人工物が空高くまで視界の一部を埋めている。壁からはものすごい量の水が放出されている。その前を横切って黒部ダムを越えてその向こうに歩いて行くのだ。と思うとワクワクする。


 どこから黒部ダムに入るのだろうと。思っていたら、期待を裏切らないようなとても怪しい入口があった。まるで戦争映画に出て来るような要塞の入口。気分はスパイ。


抜けると、


ただの観光地...。みんな格好がきれいすぎる。汚い自分の格好を隠さねばと、またもや心が落ち着かない。最終バスの出発を尻目にロッジくろよんへと歩く。

 朝のロッジくろよんのテン場
前はテントの人もお風呂に入れたらしいのですが、
心の無い人がいたので廃止にしたと言っていました。

ロッジくろよんのテント場に着くと、キューベンファイバーを使ったダブルウォールで世界最軽量のテントだと聞いているTerra Nova Laser Ultra 1が一つ張ってあった。山でULな人はほとんど見かけない。どんな人が使っているのか興味新々だった。夕方を過ぎると雨も強くなった。

朝方の食事どきに出てきた人は、なんとおじいさんだった。てっきり若い人が出て来るのだと思っていた。九州は長崎の人で、山と道の事は知らなかったが、軽さへのこだわりは感じる。足下はモントレイル。それも長年の経験の中で軽くなり今にいたっているのだろうと感じた。長く遠くまで歩かれるスタイルもやられているようだ。リアルU.L.おじいさんハイカーに出会えた事はうれしかった。自分の使っている道具にも興味を持ってくれた。もっと話をして、RayWayやU.L.のカルチャーを知っている人なのか聞いてみたかった。


つづく。