毎年ジャンダルムと大キレットを繋ぐハイクをしたいと思いながら、天気が悪かったり、タイミングが悪く行く事が出来ていなかった。JMTを歩いている時に、帰ったら「槍ヶ岳に行きたい」と由美子から言われ、ならば、歩きたいとずっと思っていたこの道を僕は歩く事にした。由美子は丹沢以外のはじめての山小屋泊まりをしたいとかねてから考えてていたらしく、槍ヶ岳で落ち合う事にした。
起点となる西穂高は、新穂高温泉からロープウェイで上がる事が出来る。
地図で行動時間を調べてみると、槍ヶ岳まで少なくとも2日必要で、由美子よりも1日多く行動しないといけない事が分かった。ロープウェイの始発は8:30と遅く、通常は西穂高山荘で泊まり、早朝早く出発するのが通例だと思うが、仕事が忙しく前日に西穂高山荘まで行く事が難しい。
アクセスを調べてみると、週末のみ新穂高ロープウェイに早朝着くバスの運行があるらしく、前日はバスの中で寝ながら行く事を検討していたが、ぐずぐずしているうちに、満席となってしまった。他の方法はと調べて以下の形で行く事にした。結果的に行動時間の長い1日目を考えると、前夜しっかりと眠れて良かったと思う。
17:00 新宿濃飛バス出発
21:35 平湯温泉 到着
平湯野営場泊
平湯野営場の受付は20:00に終了するという事で、前日に電話で相談してみた。
受付は終了するので、名前と連絡先を書いて封筒に宿泊料金600円を入れてポストに入れておけば良いと伺った。平湯の夜は早いので、高速のサービスステーションでつまみなどを購入して、野営場に向かった。平湯バスターミナルから10分程の距離で、誰もいない山道を一人歩くのは寂しい。平湯野営場は土曜日の夜という事もあり、キャンプを楽しんでいる方々が数組いた。とてもきれいな場所で使い勝手も良かった。コインランドリーも完備されている。夜御飯を食べているとふと目線を感じた。横を見みると狐がいる。本州ではじめて狐を見た。
翌朝は平湯から新穂高に出る始発のバスにのり新穂高ロープウェイに向かう。僕の他に数組登山客がいらした。ロープウェイの始発8:30よりも1時間程早くバスは到着したが、すでに並ばれている方々がいる。出発前には長蛇の列となり早く到着していて良かったと思った。
新穂高ロープウェイは2回乗り分けて行く。2回目の乗り換えでは120名も乗れる2階建ての大型ロープウェイが運行している。8kgを越えるバックパックは超過料金を取られるが、パックウェイトを測ってみると7.5kgとギリギリセーフ。
ロープウェイを出て出発したのが9時。今日の到着予定地の穂高山荘まで地図の行動時間が13時間とあるので、JMTで痛めた膝をかばいつつも飛ばす事にした。
西穂高山頂には10:30頃到着した。丁度山頂で逆コースでジャンダルムを歩いてきた方々に遭遇する。早い。朝何時に出発されてきたのだろう。
間岳の登り。地図を由美子が持っていったので、携帯に落としてきた地図しか手元に無く、詳細は分からない。
天狗岳を越えた所で振り返った写真。終始、手も足も使うクライミングルートが続く。鎖もある箇所もあるが、鎖を使うと余計疲れるし、鎖の方が怖いので、基本使わない。
晴れていると、靴(スポルティバのラプター。僕的にはアルプスでは最高!)のグリップも効くし、支点もしっかりとしているので、元気があるうちは、浮き岩を掴むか、踏むかを注意すれば問題無し。最高に楽しい。
ジャンダルム。どこから登るか分からず、行ったり、戻ったりしてしまった。登り口は西穂高側にあり、「ジャン」と書いてあった。これからは僕もジャンと呼びたい。途中からマーキングが無くなり、困惑したが、問題無く登頂。
奥穂高の山頂がすぐ近くに見える。気持ちよすぎて、とりあえず叫んでみる。
少し休憩して、「ジャンアイスコーヒー」を嗜む。
ジャンから振り返って歩いてきたトレイルを撮る。
楽しかったのはジャンまでで、ここからが大変だった。ガスが出てきた。ルートの難易度はさらに上がるのに、流石に疲れてきて足がガクガクとしてきた。緊張した。
途中道が正しいのか、行ったり、戻ったりを繰り返しながら、 休憩を多く入れながら進んで行く。
この山を降りてくるのはシンドかった。
そして、最後に馬の背...。馬の背というよりも見た目は恐竜の背。
ああ...マジか。と見た瞬間思いました。支点はしっかりとしているので問題は無いのですが、身体がぼろぼろです。ゆっくりと慎重に進みました。
奥穂高山頂。16時過ぎにようやく到着。
奥穂高から振り返る。ガスが稜線まで上がってきていた。
遠くに明日歩く道が見える。遠くから見る槍は本当にきれいだ。
穂高山荘でテントを申し込み、夜はポトフにソーセージを入れて食べる。夕焼けもきれいで、夜は満点の星空だった。ツェルトを張る。夜は風は出ているもそんなに強くは無かった。風が強いと僕が使っている1mmのコードでは岩で擦れて切れてしまうだろうと思った。それでも風でツェルトがうるさいので、自立式のテントを作りたいなとも考えもしたが、耳栓を持ってくれば解決するなとも思った。
つづく。