台湾一日目
台湾迄は4時間のフライト。時差はマイナス1時間。飛行機は出発が遅れて30分の遅延で現地時間3時頃等着。入国審査でさらに物凄く時間がかかり(あるアジアの国からの搭乗者の方々とバッティングしたみたいでその国の人達の入国審査が物凄く長くかかっていた。) 入国出来たのは5時頃。安い飛行機だから仕方が無いかな。飛行機で何も食べて無かったので、お互い物凄くお腹が減っていた。ホテルと今日夜会う約束のA.C.S.の智名(Chihming )さんにメールで遅れる事を伝えて、軽く食べる。
少しでも遅れを取り戻す為にタクシーで市内へと向かった。ホテルはOZマガジンの台湾特集に乗っていた今面白いと言われている地域にある古い建物をリノベーションした読人館という所に泊まった。客室は僅か6室でその日は僕等だけの宿泊だったみたいだ。ホテルというよりも良い感じにリノベーションしたB&Bという感じ。出迎えてくれたスタッフは日本語がペラペラだった。由美子も僕も少し風邪気味で体調が良く無かったから、少しゆっくりしてから、山と道を日本以外で唯一販売している台湾の卸先店舗のA.C.S.に向う。A.C.S.は台湾でパタゴニアやグラナイトギアの代理店をしている会社のお店。雰囲気は中目黒のパンブールナみたいだ。店長の智名さん、元A.C.S.の店長をしていたヘクターさんやスタッフのコガモちゃんと一緒に近場の美味しい居酒屋でご馳走になった。今回台湾に来た目的は、A.C.S.の人々と会う事と途中迄台湾の山を一緒に歩く事。前から一度3000mを越える山脈が広がる台湾の高山を歩いてみたいと思っていた。何処を歩くか智名さんと色々と相談して、台湾五岳の一つ南湖大山3740mに向う事にした。行き先は決まっても、入山許可証の入手などに手こずり、年末年始のギリギリのタイミングで智名さんの力をお借りして、入手が確定したのは出発の前日。無事パーミットが取れてほっとした。後は地図を現地で購入しようと思ったらソールドアウトで買えないという。中々ハードルが高い。
宜蘭(イーラン)のバスターミナル
台湾二日目
翌日朝、近所を散歩して、乾物屋でドライフルーツやクルミなどのナッツ類、ヌードルなどを購入する。11時のチェックアウト後には、昨晩ネットで探した地図の出版社の卸先リストを幾つか当ってみるが、やはり地図は何処もソールドアウトだった。智名さんにいただいた地図のコピーをもって行く事にした。小籠包などを食べつつ観光をしていると、智名さんからメールが入っていた。向う山の南湖大山の最近の写真をネットで入手したとの事。これは僕もずっと探し求めていたものだ。写真は見事な雪山が映っていた。もっと早くこの情報が手に入っていれば。と少し装備で後悔…。天気も暖かく、台湾最高峰の玉山もまだあまり雪がなさそうだったから、雪はそれ程付いていないと思っていた。こんな事ならオーバーシューズを持ってくるべきだったかもしれない。夜にA.C.S.で智名さんと落ち合い、バスで台北から50分程の距離にある街宜蘭に向かって一晩泊まった。翌日朝7時30分に宜蘭からトレイルヘッド迄バスが出ている。台北の空は曇り空で思ったよりも寒い。人は噂通りに暖かく、日本人にはとても居心地がいい。明日から山に入る。
台湾三日目
朝6時40分ホテルのロビーに集合。近所で朝ご飯と、ハイク中に食べる台湾式オニギリを購入して、バス停に向う。定刻通りにバスは出発した。山に向けて走って行くとどんどん冷えてくる。1時間を過ぎてくるとあたりはガスで真っ白となった。寒いし、上は雪かと思う。途中トレイルヘッド手前で、サービスステーション的な商店に止まる。10分程休憩して出発すると、青空が見えて来た。
登山口の手前で休憩スポットがある。ナッツ類などの行動食も買えます。煮込んだ卵が美味しい。
A.C.Sの智名さん
於思源啞口站下車して登山口へと続く林道へ入っていく。
トレイルヘッドに到着する頃にはすっかり晴れ渡り、曇を抜けた事を知る。今回智名さんとはお休みの関係で一日だけ一緒に歩く事になっている。今晩一緒に泊まった翌日に智名さんは山を降りる。その先は僕等だけで歩いて行く事になる。ルートは台湾最大の長さの中央山脈の北にある南湖大山を4日かけて歩いて戻ってくる予定になっている。地図では林道を6.7kmほど歩くとあるが、立派な登山道にしか見えない。途中誰にも会う事は無かったが、林道を抜けた先の登山口に地元の登山パーティーの方々がお昼を食べていた。ガラス製のティーポッドでお茶を入れていたのには驚いた。僕達も少し休憩して軽いお昼を食べる。向こうのグループの人と智名さんが挨拶を交わし出す。僕等と行程は同じようだ。台湾の登山者の方々はとても親切で直ぐに食べろ食べろと何かしらを持ってくる。それがまた美味しかった。食べろ攻撃を避けつつ、お昼ご飯を食べてる彼等より先に登山道に入って行く事にした。
登山道入口 トイレの奥に水場がある。
本当に雲の海のように見える。見事な雲海。
定期的に登山道から何キロ歩いてきたのか記したサインが設置されている。
雲稜山屋
夕方前に小屋に到着する。小屋の手前に、ステルスキャンプ出来る場所があり、智名さんはキャンプはどうだ?と尋ねられたが、台湾の小屋も興味深かったので、智名さんには申し訳ないが小屋泊にさせてもらう。パーミットには山小屋のベッド番号まで記されていて、台湾の山小屋は、どこに眠るかも決まっている。小屋はキッチンスペースとベッドルームが別々になっている。夜から消灯時間まで灯がついたのには驚いた。太陽光を蓄電しているのだろう。トイレも同様に灯がつく。小屋には、ピストンで南湖大山から戻ってきた登山者がいた。彼の話しだと、足首よりも上まで雪があり、途中、一部アイスの箇所があり注意が必要だと言う。少し心配ではあるが、ダメなら引き返してこればいい。
マットレスも引かれていた。
智名さんはエバニューのアルコールストーブを使っていた。僕らは雪山という事も考えてガスストーブを持ってきた。
雨水をためたタンク
登山口で出会ったパーティは夜遅く7時頃に到着した。気がつくと割とおおぜいの登山客で小屋は埋まっていた。激しいイビキが小屋内に響きわたり中々眠れないでいると、12時過ぎからゴソゴソと誰かが起き出し、朝食の準備をし始めている。朝2時過ぎには、小屋全体が騒々しくなる。一体何時に出発するのだろう。僕たちは、6時位に起きる予定だったけど余りにもの騒々しさに負けて4時位に起きた。もうとっくに早く起きた人たちは出発しているものとばかり思っていたら、まだいるではないか。早く起きて準備をしてこれまで何をやっていたのだろう。智名さんにいつもこんなに台湾の山は早いの?と聞くと大体そうだと言う。智名さんは普段はほとんどキャンプ泊だと聞いていたがなんとなく納得する。でも、台湾の人たちはとても優しくて、美味しいジンジャーティーをご馳走してもらったり、騒々しくもとても心が温まるいい体験だった。日の出前に智名さんにお別れをして僕らだけで、南湖大山へと向う。
つづく。