3.02.2015

赤岳アタック


2月中旬、TRAILSのライターとしても活躍する写真家の三田さんと2-tacsの本間さんの3人で、このチーム今年2回目の八ヶ岳へ。前回は天狗岳を目指すも本間さんのハイエースがスタックして、車中宴会となった。(山のトラブルは楽しい。)今回はそのリベンジ。




 

行者小屋か赤岳鉱泉か迷ったあげくお酒の補給が容易な赤岳鉱泉に進路を取る。



eVent クフ ブラックスカートver. 結露はするけど他の生地と比べれば格段に良いような気がします。



今回はじめて投入した分離型ストーブ、オソンさんや鵜飼さんにも相談して、選んだのはオプティマスのベガ。ベガといえばコレ



Optimus Vega

オプティマスはスウェーデンのメーカー。日本未発売の商品だけど、液だしOK(ガスカートリッジを逆さまにすると気化したガスではなく液をそのまま燃やす事が出来る。普通のストーブだと危険!)標準装備の厳冬期に使えるストーブ。ゴトクも大きいので鍋も余裕の安定感。それでいて178g アマゾンでも売っています。SFなスタイリッシュなデザインもかっこいい。北欧のメーカーは厳冬期で使えるという事をよく考えているな。と思う。同時に三田さんが使っていたトランギアのアルストも極低温化でも問題無く使えていた。

ウィスキーなど飲みつつみんなで鍋を3ラウンドぐらいやってこの日は終了。
この2人との夜は最高に楽しいのだけど、前の車中泊のように言葉を交わしすぎて、はるか遠くまで意識を飛ばすのは気をつける。



翌日5時出発という話だったのに、誰も起きてこない。みんなを起して回り、日の出と共に出発する。



歩きながら身体が目覚めていく。まだ厳冬期の山を見たことが無い人がいたら、人生損しているよと言いたい。本当に、圧倒的に、完璧に美しいから。



阿弥陀岳

今回、当初は阿弥陀岳と赤岳を繋げて行こうという話をしていた。三田さんは以前赤岳を登った事があったらしくて、それだけだとなんだか満足しないような...。アルパインスタイルで少し冒険したい。そんなやりとりを出発前に、今回参加出来なかった人も含めてやりとりをしていたけど、西穂高のダイヤモンドピークなどいくつか候補が上がっていた。アックスを使ったアルパインスタイルが初めての本間さんがいるのだから、無茶はしてはいけないし、でもアックスを使った登りを楽しんで、かつ落ちても絶望的では無いだろうという判断で(南壁ルートでは無い)阿弥陀岳と赤岳を当初は選んだ。

雪はふかふかに積もっていて、何度も歩いている道だけど、今日のトレイルは最高のコンディション。超楽しいと登っていく。阿弥陀岳を見上げると、ちょうど登る予定の場所をお日様が照らしている。その斜度、雪に照らされる日の強さ。「行く...?」「...やめておいた方がいいんじゃない。」「雪崩そうだね。」阿弥陀岳は止めて赤岳に集中する事になった。でもそれでいいのだ。





今日の赤岳は最高に美しかった。完璧にやられる魅力をぶちまけていた。













アックスを振る。登る。日が上る。風も無い。景色が変わる。最高の山のぼりだった。





超最高でしょ。


青い空がすっごく気持ちいい、雪山は。白と青のコントラストが最高。



赤岳を越えたら次第に天気は崩れていく。雪山は特に朝は天気が良いけど...というのが多い。
でも崩れてもグレーがかっこいいのだ。



2人に見せたかったのは、ばっきばっきにトガッた地蔵尾根の馬の背だったけど、赤岳を降りてくる頃に遠くに馬の背のエッジを壊している人の登りが見えた。今日のパウダー具合なら、割と良い感じに頭に刺激がくるようなエッジ感があると期待していて、そのエッジが潰されていくのを遠くから見ていると、逆から歩いているんだからしょうがないよね。と思っていた。でも、その場所に辿りつくと、なになに!という感じで馬の背はいい雰囲気を出していた。赤岳登山の核心部、ハイライトはこの場所でしょう。

エッジは潰されてはいたけど、周りが良い感じのパウダー。巾足幅くらいのエッジライン数メートル。普段なら崖伝いにアックスぶちかまして、足を蹴り込んで壁を渡っていこうかと思うけど、その足幅くらいのエッジを歩いてみたくなった。なんだか気持ち良さそうだから。一歩足を踏み出してみると、今日歩いてきた人の足跡を感じる。安心が出来る硬さ。

気持ちいいから滑落姿勢をとることもなく、手を広げて歩いてみた。飛んでいる気分だった。

渡りきって、すごく気分良い感じで2人を待つ。その後...、本間さんが滑った。落ちていった。途中で止まった。でも滑落姿勢が出来ていない。少しずつ落ちていく。アックスの使い方を伝える。落ちていくのが止まった。ナイス!その感じは凄く分かる。僕もそこで落ちた事があるから。落ちた瞬間の驚きと脳みそが感る最高のテンションが分かるから、どこか笑い顔になってしまう。あ〜でも止まって良かった。






滑落停止訓練などしながら降りていく。


日の光に照らされて、雪が舞う。僕たちが遊ぶ。そんな最高の雪遊びでした。

写真を一部三田さん本間さんからお借りしました。ありがとうございます。