6.16.2011

山と道 U.L.FramePack ONEのコンセプト その1



「ある程度の重量も、快適に背負えるU.L.バックパックを作りたい。」


僕たちがJMTに行くときには、僕が二人分の食料を持って歩く事になり、当然、荷物は増えて、バックパックを含む最大重量は約11kg程となった。僕は、ゴッサマーギアのマリポサを改造し、オスプレイのウエストベルトを連結して腰荷重も出来るようにした。ゴッサマーギアのマリポサは、とても好きなバックパックです。アルミフレームを入れる事によって、背骨を中心に上半身全体で快適に背負う事が出来ます。なのに、何故、ウエストベルトを強化したのか。人によって、感じ方はそれぞれだと思いますが、個人的な印象では、パックウェイト(食料・燃料・水を含む背負っているバックパックの総量)が8kgを越えたあたりから、上半身で背負うのが少し苦しく感じました。僕は、腰を含めて身体全体で背負いたいと思い、ウエストべルトを変える事で、腰にも荷重を分散し、8kgを超える荷物を快適に背負い歩く事が僕は出来ました。


バックパックには、それぞれ、最適に背負える重量の幅があります。それぞれの目的に応じて、設計を考え、生地を選択し、デザインがなされています。

基本U.L.バックパックは、U.L.ハイキングに基づいており、そのU.L.ハイキングのスタイルは、食料、燃料、水を除く荷物の総量(ベースウェイト)を4.5kg以下にするように推奨しています。それらを基準として考えれば、3泊〜5泊のハイキングでも、6kg~8kg程を快適に背負えるバックパックをデザインするのが必然とも言えます。(*一日の食料の重さを500gと仮定した。ロングハイクでも基本5泊程度を繰り返して行いながら、食料を調達し、長いハイキングを継続していく。)上記を踏まえて、U.L.バックパックは、50L程の容量でも、軽いものは200g~700g程の幅で様々な商品が出ています。

僕はマリポサを改造し、ある程度の重量でも快適に歩けるようにはなったけれども、その分、重量は増えて、771g(ノーマル632g) 結果、ガレージメーカーのU.L.バックパックとしては少し重たくなってしまいました。

「〜11kg ぐらいまでの重量を腰を含めて身体全体で背負える、かつ、徹底的に軽い世界最軽量クラスのU.L.バックパックを作りたい。」それが山と道 U.L.Frame Pack ONEの 一つの目標でした。




山と道 U.L.Frame Pack ONE 60/s Black x Grey

Xflame(carbon) 

素材:
1.3oz Silicone Coated Ripstop Nylon (aka SilNylon)
70 Denier PU Coated ripstop nylon fabric.
X-pack VX21
200 denier coated nylon Oxford.

本体容量40L
最大容量50L
最小容量35L
*両サイド、ボトムのコードを引く事で、35L前後にコンプレッションが可能

ミニマム重量 430g (*フレーム+背面パッド+付属パーツを除く)
標準重量 480g





私達が以上のコンセプトを実現する為の解決方法として選んだのは以下の方法です。




1)ある程度の重量を快適に、腰を含めて身体全体で背負える。


Xflame(carbon)の使用。カーボンロッドをX状に配置して、バックパック全体に剛性を出し、腰、背中全体に荷重を分散させました。


*修正
U.L.バックパックとして軽量性を第一に考え、素材を選択している為に、通常のバックパックよりも強度が弱く、まだ限界を超えるハイキングは行っておりませんが、パックウェイトは11kg程をMAXとお考えいただければと思います。パックウェイトが11kgを超えるパッキングは個人的にお勧めいたしかねます。




2)徹底的に軽い世界最軽量クラスのU.L.バックパックを作る。


本体の生地に、シルナイロンと呼ばれるU.L.アウトドアでも注目(定番?)されている素材を使用。ップストップナイロンの両面をシリコンコーティングされた素材で、非常に薄く軽量でありながらも、耐久に優れた素材です。弱点としては、シリコンのコーティグによって補修、修理がしにくい点があります。その弱点を補う為にも、バックパック全体に配置されたポケット(黒)に、シルナイロンよりも厚手の70 Denier PU Coated ripstop nylon fabricを使用しています。より防水性を高めると共に、補修テープ等で簡易に補修が可能です。どちらの生地にも、ベースにはリップストップナイロンが使われています。リップストップとは、裂け(リップ)止めの事で、グリッド上に太い生地が織り込まれた生地は、生地の裂目が広がるのを止めるようにデザインされていま
す。


ボトムには、日本での使用を考え、強靭で、防水性のあるX-pac VF-21を使用(コンセプトその2でさらに説明をします。)その他、縫製箇所など、適材適所に200Dオックスフォードナイロン生地を使用しています。


それぞれの生地や素材の特性を生かしながら、快適に使えるデザインを目指し、上記以外にも削れるところは可能なかぎり徹底的に素材の軽量化を目指しました。その結果、バックパックのMサイズに相当する60サイズ、ウエストベルトSサイズのサンプル品では、標準重量480gを実現しました。


荷物の重量+バックパックの重量=パックウェイト
この図は山と道夏目の勝手な主観と思い込みに基づいています...。



その2に続きます。