4.14.2013

3月の八ヶ岳南北縦断ハイク

 
HIKELOGUE 01 - YATSUGATAKE

Hiker:
Akira Natsume (YAMATOMICHI)
Hideki Toyoshima (gm projects)
Movie : Hideki Toyoshima (gm projects)
Music:Sangatsu

 


3月のある日 6日分くらいの食料に、スノーシューを携えて八ヶ岳を南北に縦断するハイクをしてきました。同行者は昨年雪深い奥秩父や残雪の飯豊を一緒に歩いた豊嶋さん。
ルートは以下の通り。雪の八ヶ岳を端から端まで南北に縦断するルート。

観音平〜網笠山〜権現岳〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜本沢温泉〜中山峠〜ニュー〜白駒池〜雨池〜双子池〜双子山〜前掛山〜蓼科山

 





1日目

当初は去年2人でハイクした瑞垣山荘から甲武信岳までの雪深い奥秩父のスノーシューハイクの続きとして今年は奥秩父主脈を全山縦走しようかと考えていた所、天気があまりよろしくないという事で、前日急遽予定を変更。天気が持ちそうな2日間で南八ヶ岳を抜けて、天気が悪くなる所で北八ヶ岳の森に抜けていこう。という事になった。初日はタクシーで観音平の手前まで行き、冬期通行止めの為、歩いて観音平に入り、網笠山を越えて青年小屋で一泊。




















 二日目

南八ヶ岳の核心部を縦断する。行程は以下の通り。 青年小屋〜権現岳〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜夏沢峠〜本沢温泉。 夜に黒百合ヒュッテまで抜けるか、行ける所まで歩いて、ビバークするかを話あったが、3日目の天候があまり良くなく、停滞の恐れもあったので、どうせなら、温泉にビールを楽しもうと本沢温泉まで抜ける事になった。 朝7時過ぎに出発し、本沢温泉に着く頃には日が暮れていた。 青年小屋から権現岳まで、テープ等の道しるべは雪に埋もれて見当たらず、微かなトレースを見つけながら、所々GPSで現在地を確認した。 一日中天気も良く暴風が吹き荒れる事も無く、実に快適で、正直ほとほと疲れながらも南八ヶ岳を満喫出来た。 3月というとまだまだ雪が深いという印象だったのに、赤岳をはじめとして、南側斜面の雪の多くが解けており、岩が露出しているのには驚いた。




























3日目

夜寝ていると強い風の音が稜線よりもずっと下の本沢温泉のテント場まで聴こえてきた。稜線はすごい 事になっているに違いない。朝早くおきてまずは温泉を楽しみ朝食。ゆっくりと出発した。朝方は快晴。森の中を中山峠に向けて歩いていくと、遠くから木が倒れる大きな音がする。中山峠へ近づくに連れて風の音が強くなる。中山峠に出るとかなりの強風。山岳天気予報では夕方から雨になる予報になっていた。予想以上にガスを消費していたので、念のためにガスを補給する為に、黒百合ヒュッテに向かう。そこで同行者の豊嶋さんのご友人のゆゆさんと偶然出会う。ココアをごちそうになり、ガスの小型缶を入手して出発。天気は次第に悪くなっていく。まさか中山峠で強風の為に三点支 持をするはめになるとは思わなかった。歩いていくうちに、天狗方面が良く見渡せる場所に着くと、硫黄岳方面で、これまで見た事が無いスピードで雲が流れていた。昨日本沢温泉に降りる決断をしていて良かったと思う。この風では天狗の稜線を歩くのも僕らには出来なかっただろうと思える。強風を避ける事と、これまで無用の長物であった重いスノーシューを楽しむ為に、ニュー方面へと向かう。ニューを越えて白駒池に向かう所で、トレースやテープ等が見当たらなくなる。 iPhoneのGPSと地図をたよりに、スノーシューハイクがはじまった。















4日目


朝起きると快晴。雪が積もり森が美しい。

新雪をスノーシューで進んでいく。双子池までの道が「落石の危険あり」で通行止めとなっていたので、迂回路となる雨池からの破線ルートへと入っていく。森の中を歩いていく道で、所々テープは雪に埋もれて、トレースも 無く道が分かりにくいのだが、これが楽しい。満喫した所で道路へと出る。狐(?)やうさぎや鹿の足跡を追うように歩いていく。二子池に到着して休憩。風も無く無音。誰もいない。海の中にいるような感覚。二子池から双子山へと登っていく。この道からはほとんどテープが見当たらなかったので、地図と地形を確認しながら進んでいく。二子山山頂に到着。山頂の見晴らしは素晴らしくずっと遠くに見えていた浅間山がすごく近い。こんな所まで歩いてきたのだと実感し、快晴の中テンションはマックスに上がる。最高に楽しい。雪はふかふかで、スノーシューを履いていても腰まで埋まる事がある。3月の、表面がある程度締まった雪でこんな状態だから、2月に歩いたら、ふかふか沈みまくりで歩くのはさぞ大変(楽しい?)だろうと想像する。北アルプスの景色がまるで絵のようだった。前掛山を越えるのは大変だった。急な登りを唄をうたいながら、最後の元気を振り絞って上がっていく。テープもあまり見当たらず、ルートを外れてしまい、木々の薮を押しのけながら歩くという難儀な道のりとなった。あまりにも天気が気持ち良いので、ちょっと変な元気で乗り越えて行った。予想以上に時間がかかり、いつ蓼科山に着くのか不安になっていた所、蓼科山近くでテープとトレースに出会い、気持ちよく進んでいく事が出来た。最後の蓼科山の登り。登る方向に太陽があり、太陽へ向かって歩いてく。豊嶋さんがあるギリシャ神話のようだね。と言っていた。太陽に溶かされて落ちなければ良いと思った。斜面はかなり急で長い。斜雪が良くしまっていたので、スノーシューでそのまま進んでいった。途中急な斜面をスノー シューで登っている自分を恐ろしく感じながらも、一応滑落防止体勢で進んでいく。気持ち良いぐらいに快適にスノーシューが雪にささり、進んで行く。最後の 蓼科山の頂上は素晴らしいの一言だった。こんなに美しい山だとは知らず今回はじめて登った。これまで歩いてきた山々を見渡す。お鉢にある神様にこれまでの 山行の御礼をお伝えする。写真や映像を撮り終えた所でガスが出てくる。まるで僕たちの撮影が終わるのを待っていてくれたかのようだった。今回のハイクは終始こんな感じで、出発前は天気が悪い予報が出ていたのに、僕らの歩く道を妨げる事は一度も無かった。神様が僕らのハイクを祝福してくれているように、悪い 天候をすり抜けながら歩く事が出来た。

最高の3月の八ヶ岳南北縦断ハイクが終わった。