仕事が少し落ち着いてから、まだ残雪期の山々が美しく見える常念山脈を歩いてきました。GWがはじまってすぐ奥穂高を登ったときに、常念山脈の稜線にほとんど雪がついていないのを確認していたので、雪山になじみの薄い由美子にも安心して雪が残る北アルプスの美しさをみてもらえると思いました。
装備は僕はHOKA ONEに予備で防水ソックス。由美子はモントレイルのOUT DRYの防水のハイカットのシューズと、割と軽快なスタイル。バックパックはテスト中のTHREEに新商品として近日発売予定のZIP packを付けて、山と道の5-POCKETS LONGPANTSに試作品のメリノウールヘンリーネックTシャツに、今問題解決中のCAPとほぼ山と道の装備品一色。
DAY01
中房温泉から山に入りました。
穂高駅から中房温泉に至る途中、先日鎌倉まで遊びにきてくれ友人が働いていると聞いていた穂高養生園という施設の看板が目に入り、「あれ、ここが先日聞いていた穂高養生園じゃない?」由美子が気がつき、目を向けて眺めていたら、友人を発見!車中から手を振っていると向こうも気がつき、お互いに遠ざかる車ごしに、しばしの偶然の出会いを喜びあう瞬間がありました。
中房温泉から合戦小屋までは雪もなく夏道。ただ雪解けすぐという事もあって、ブヨの数が半端無い。ニュージーランドのブヨはすぐ噛んできますが、日本のブヨはあまりすぐには噛んでこないような気がする。
山と道の道具のことなど。
Waist Pack改めZIP pack で近日発売予定。MINIやONEのオプションパックとして、ウエスト部分にお使いいただけます。この手の他のオプションパックと比べて割と容量もありますので、サコッシュと併用して使うと、けっこうな量を身体のフロント部分に収納可能です。商品化しますよ〜。と山と道の展示会でお客様と話をしてもう3年以上がたちますが、ようやく製品化する事にしました。
5-POCKETS LONGPANTSと試作品のリノウールのヘンリーネックTシャツ
5-POCKETS LONGPANTSは6月〜7月に完成予定。写真はSサイズのNavy。
これもすごく時間かかった〜。ショーツが完成してからすぐにロングパンツが出来るとばかり思ってましたが、非ストレッチの素材で満足行く膝の動きを出すのに試行錯誤。完成までに2年かかりました。ショーツ共々外部のパタンナーさんと組んでずっと試してきましたが、本当にいい勉強になりました。膝から下にかけてテーパーがかかっていて、足下のもたつきも少ないですし、自信作です。残雪期でも色々とテストしてきましたが、シリセードして濡れてもすぐ乾くし、数百メートルシリセードしても耐久性は大丈夫でした。
メリノウールのヘンリーネックTシャツはあまりコストも考えずに、気にいるベストのものをまず作るために色々と試行中。Tシャツもかれこれ4年以上手をかけており、製品化出来た際に色々ととりまとめたいと思いますが、今の所思う所としては、ハイクに関してはスポーティな形にする必要はあまり無いな〜。と考えたりしています。各社色々と生地をはいで縫製していたりするのは、実は機能性よりも、生地の取都合の問題によるコストの問題じゃない?とか、見た目のデザインじゃない?とか色々と見えてくるものがありまして、最終的には普通のTシャツの形が僕はベストじゃないかと考えています。
生地も各社出している150g/mの薄手の生地よりも普通の厚さの生地になりそうな感じです。これはまだ主観的ですが、薄手よりも普通の厚さの方がいいんじゃない?と思う所があります。過去に150g/m薄手のメリノウールTシャツを着て北アルプスを縦断した際には、汗が飽和状態になって、肌触りが気持ちわるいな。と思う事がありましたが、少し厚手の試作品をいくつかテストをしてかれこれ2年ぐらいたちますが、そういった気持ち悪さはあまり感じません。逆に薄いよりもいいんじゃないかなと思う事もあります。なんとなしに考えてみるとメリノの良さの一つに、汗で濡れても身体が冷えない。天然のエアコンのような繊維とも言われてますので、ある程度汗を吸い込めるぐらいの厚さがあったほうが、快適なのかなと納得出来る部分があります。といっても厚手というわけではなく、普通のTシャツの厚さぐらいの感じです。透けるような薄いTシャツではないという事です。メリノウールは暑いと思われる方もいますが、天然のエアコン機能を備えた生地ですので、寒冷差の激しい山ではベストな選択だと僕は思います。
後、現在生地はニュージラーランドの生地屋さんとニュージーランドで出会った方を仲介してやりとりしているのですが、生地屋さん曰く、「他のメーカーは150g/mの薄手のTシャツを作るが、絶対それはお勧めしない」と言っていました。「生地の耐久性が足り無いので止めた方がいい。」と、まだテスト中ですので、今後、諸問題が解決して、薄くてもいいTシャツが出来るなら軽い訳で、それを選択するという可能性もまだまだありますが、後完成まで少しかなという所までたどりつきました。
合戦小屋から雪道。残雪のぐずぐずの雪で、固い靴なら問題無しでも靴が柔らかいからすぐに登れなくなり、10本詰めのアイゼンを付けてようやく登れるという感じ。雪が固くしまってないと、スパイダーなどの軽アイゼンでは全然登れない。(先日登った奥穂高はハードシューズ、12本爪、ヘルメット、良く刺さるアックスは必須だなと思いました。10本爪をはじめて心もとなく感じました。)
残雪期の北アルプスが見えてくる。遠くに槍ヶ岳。
実は前日までまったく声が出ないような風邪をこじらせていて、まだ本復帰していなかったので、シェルターは持ってきてましたが、かねてから一度泊まってみたいと考えていた燕山荘に素泊まりする事にしました。
畦地梅太郎の作品が各寝床に飾られていて、噂通りの素敵な小屋でした。
安心して生野菜や生肉を担いでこれるのもこの季節までですかね?
鍋の良い季節もこの位迄で、これからはよりシンプルなフードスタイルに戻って、長いハイクを楽しみたいものです。
GW開けの5月は人も少なくいい感じでした。
DAY2
ほとんど雪はついていないけど、所々雪道を歩く。
大天井岳
大天井岳までは、夏道が雪のトラバースがあるため、冬道として大天井岳まで直登。それまでの道沿いの風の強さが半端無かった。雪の硫黄岳のような強風がずっと続く。ときおり、身体をドンと押されるような強風。強い風がずっと続くとこうまで体力が奪われるのかと由美子と実感する。「これで雨振っていたら体力無くして、低体温症になるね。」と。
大天荘は夏からの営業。まだ閉っていました。
13時頃に常念小屋に到着。その先の蝶ガ岳まではまだ時間がかかるのと、風と風邪で体力が奪われていたので、ぐずぐずと風の強いテントの中で時間を潰すのを止めて、ここも贅沢に素泊まりして漫画を読んで過ごす事にしました。人が少ないから個室に泊まれてラッキーです。
DAY03
常念岳の長い登り。この山は本当に美しい。
昨日夜に少し雪が降ったのか、少し地面が雪化粧されている。
常念岳から蝶ガ岳までの最後の稜線を一望。遠くにあった槍ヶ岳が近づいてきて、それを越えると涸沢が見えてくる。それを越すと穂高がよく見えて来る。素晴らしい山々をみながら歩けるこのトレイルは思い出深い山々を見ながら歩ける絶景の連続です。
常念岳を振りかえる。雪道が続く。
天気にも恵まれて、夏道も、雪道もどちらも楽しめて、いい山行になりました。GWから夏迄の期間、人も少なくいいですよ。